『司馬遼太郎で学ぶ日本史』を読んで

『司馬遼太郎で学ぶ日本史』(NHK出版新書・磯田道史・2017)という本を読みました。司馬遼太郎作品のすべてを読んでいないのと磯田先生が書いたとはいえ作品を通して日本史を眺めてなにになるの?というひねた見方をしていたので買っておきながら長いこと積…

「アタル」もしくは「カイコがアタル」

いまとなってはよくわからない言葉があったりします。たとえば歌舞伎の助六由縁江戸桜という作品の中で皮肉をいう上から目線の意休に対して助六が反論しつつも最後に「ええ、つがもねえ」吐き捨てる場面があります。この「つがもねえ」は私は前後の文脈から…

岡崎にて(もしくはある刀工の謎)

誰の得にもならない読んでも時間の無駄になりそうなことを書きます。 私はなんの得にもならない「そんなものを持っててどうするの?」的な無用の長物をいくつか持っています。その筆頭が相続した刀剣類で、これを書いているのは一介の(勤務先は4階の)サラ…

『作りたい女と食べたい女4』を読んで

最近『作りたい女と食べたい女4』(ゆざきさかおみ・KADOKAWA it comics・2023)というマンガを読んでいます。マンガをたくさん読んでいる人が世の中に居て、昼間働いているので時間が限られそれほど読めるわけでもなく、なのであんまり数を読んでいるほうで…

銀座松屋『その着せ替え人形は恋をする』展(もしくは衣装から眺める「らしさ」について)

去年の第六波の頃に『その着せ替え人形は恋をする』(原作・福田晋一)というアニメを視聴し、そのまま順調に原作にも手を出してしまっています(…しまっています?)。着せ恋は単純に書けばコスプレがしたい喜多川さんと裁縫が出来る五条くんが試行錯誤する…

文章を書くことの苦手意識の変遷について

高校時代に交換日記をしていた時期があります。当時もいまも書くことが決して得意ではありません。理由は単純で「文章をどう書くか」の基礎知識がないからです。おそらく人は知識が無いと苦手意識をもちます。苦手だからって回避できなかったのが交換日記と…

猛暑の夏になにを食べるか問題

天気予報を眺めていると神奈川県の海沿いのほうが東京より涼しいことがあります。おそらく海からの風がそうさせてるのではないかと推測するのですがほんとのところはわかりません。週末に居た浜松市は比較的海に近いので期待していたのですが、しかし浜松駅…

浜松市秋野不矩美術館へ

浜松は比較的大きな都市ですが北部の天竜区は(悪く云えばというのは横に置いておくとして)よく云えば緑の多いところです。浜松駅から遠鉄電車と天竜浜名湖線を乗り継いで運が良ければ50分くらいのところに二俣という街があり、日本画を教えるためにインド…

悲しげなワラビ餅の記憶

いつものようにくだらないことを書きます。 完全に余計なお世話なのですが通勤途上で「このお店、経営が成り立ってるのだろうか?」などとたまに思うことがあります。通勤に使う駅にあった高級パン屋さんがそれで、店はキレイでおしゃれでしかし強気の値段設…

睡魔に勝てそうにない時間の存在

去夏あたりから感染者が増加すると救急車が逼迫する旨の東京ローカルの報道を見ていたこともあって、真夜中にサイレンが聞こえたとしてもそれほど驚かなくなっていました。未明にサイレンが聞こえて「救急車かな」などと思いながら時計を確認すると4時前で、…

『神さまがまちガえる』3巻を読んで

『神さまがまちガえる』(仲谷鳰・KADAKAWA電撃コミックスNEXT)の3巻を今夏読んでいます。おもしろかったです…で済ますのがもったいないので、もう少し書きます。 本作はシェアハウスの大家でかつ研究者でもある姫崎かさねとシェアハウスの住人でかつ学生で…

2年ぶり2回目

お前なんでそんなものを視ているのかといわれるとキツいのですが『デキる猫は今日も憂鬱』というアニメを東京ではいま放映しています。詳細は本作をご覧いただきたいのですが、いくばくかのネタバレをお許しいただくと家事全般がそれほど得意ではない主人公…

不安や心配とその周辺

すべての回をちゃんとみていたわけではないものの以前東京ローカルのMXで夜にSHIROBAKOというアニメ制作会社の物語をやっていました。どんな話かは是非本作を視聴していただくとして、SHIROBAKOの中には本田さんという恰幅の良いふだんは穏やかな制作デスク…

術中の妄想

商学部などを出ていればそんなことないのかもしれませんが私はあほうがく部卒で途中から数字を扱うところに異動していて、悪いくせなのですが数字の桁を打ち損ねることがありました。読みにくいので桁を打てと複数回指導されています。いまでも作成したもの…

身延線の車窓から

子供の頃、富士山は木花咲夜姫という神様であると教わりました。姫という名のつく通り女性の神様で、しかしながら短気で、同じ甲州の八ヶ岳がおのれより背が高く美しいと気づいたときに嫉妬して棒でぼっこぼこにしてしまい、八ヶ岳は無惨な姿になり結果とし…

ある夏の日の謎

くだらない話を書きます(いつもくだらないことばかり書いていますが)。 いま住んでいる街のヨーカドーはnanacoを持ってると8のつく日にいくらか安くなります。その日を狙って日持ちする商品を買うことがあるのですが、先月の18と28はなぜか冷凍アスパラガ…

幕見席から眺めてた役者の悲しい報道に接してその3

これを書いているのはもういい歳をしたおっさんで、業務に関することで人を教えた経験が無いわけではありません。ずいぶん前に勤務先の先輩から酒の席で「あんな、云われたことを全て記憶する人なんて居らんのや」というのと「きみが理解できたことが目の前…

中津川いも田楽

土曜に秩父に行ってました。秩父の中心部からだいたい1時間くらいの山の中に三峯神社という神社があります。その三峯神社の門前で売られていたのが 中津川いも田楽というもの。芋そのものは小さいけど皮ごと食べられ、しかし芋そのものには味がさしてなく、…

夏の夜のちいさな失敗未満

くだらない話を書きます。 おそらくどこも同じかもしれませんが暑いです。ので、なんとなく食欲が落ち気味で、あれこれ考えた上でさしみ蒟蒻を先日買いました。冷蔵庫で冷やしておいて食べようという算段です。昨夜もやはり暑くて、冷やしておいたのを取り出…

新作歌舞伎『刀剣乱舞月刀剣縁桐』雑感

〇〇の変というのは日本史ではいくつもあるのですが永禄八年には永禄の変と呼ばれる事件があり、将軍足利義輝が大和の大名である松永久秀に討たれます。文字にすると大事件のように思えますが、その五年前に桶狭間があるので残念ながら(…残念ながら?)桶狭…

『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』を読んで

『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』(鴨志田一・電撃文庫・2023)を読みました。おもしろかったです…で済ますのがもったいないので、本をたくさん読んでるわけでもなければレビューを作成するほどの読解力もありませんが、書きます。 いつものよ…

佃煮にするほど

たとえば「〇〇ですね」というとき、確認を求めたり同意を求めたりの意味合いがあるはずです。そこにその人の納得を表す「なるほど」という語句がついて「なるほどですね」となると、納得+同意もしくは納得+確認となってしまうので、仮に「なるほどですね」…

小田原の旧松本別邸見学

関東は雪はそれほどでもないものの晩秋から冬のあいだは冷たい北西の風が冬のあいだ吹きます。それを地域によってはからっ風とか呼ぶのですけど、仮に北西に遮るものがあれば冬の寒さは若干和らぎます。ので、北西に箱根山という遮るものがある小田原は明治…

『豪商の金融史』を読んで(もしくは破たんを回避するための第三者の目の必要性について)

今年に入ってから『豪商の金融史』(高槻泰郎編著・慶応大学出版会・2022)という本を読んでいます。本書は大阪の豪商であった加島屋(廣岡家)について江戸期から明治にかけて追った本で、特に幕末から明治大正まで大坂の豪商として加島屋がどのように生き…

ここしばらくの試行錯誤(シャレたものから遠く離れて)

春先に仙台で泊まっていたホテルの洋朝食にミニトマトの酢漬けっぽいマリネがでてきました。メニューにはミニトマトとは書いて無くてプチトマトで、酢漬けなどとは書いてなくてもうすこしシャレた名前であったはずですが覚えていません。食べながら「これ作…

性同一性障害の当事者に対し施設管理者が事務所内の設備に利用制限を設定し改善を求めた訴訟についての雑感

いつものようにめんどくさい話を書きます。 「性同一性障害者の性別の取り扱いの特例に関する法律」というのがあります。いわゆる「性同一性障害者」の場合、戸籍を変更することが出来ることをさだめているものの第3条に条件があり、二十歳以上であることや…

その本を手に取るまで

いつものようにくだらない話を書きます。 日本史の教科書などには種子島に鉄砲が伝来したあと堺などで鉄砲が生産されるようになることが書かれていました。種子島から遠く離れた堺へなぜ飛ぶのかが謎なのですが、教科書に書かれてない以上受験等に関係ないこ…

「人間の記憶は不確か」についてふたたび

博多華丸大吉師匠の漫才の中に「人間の記憶は不確かである」という趣旨の主張をする中洲産業大学卒のお父さんがでてくるものがあります。「夜はちゃんぽんやった」けど「昨日のお昼ごはんがなんやったか…」と思い出せません。個人的には昨日や一昨日はわかり…

捕らぬ狸の皮算用(もしくは30万円あったなら)

いつものようにくだらない話を書きます。 四捨五入したら確実に五十に近接する人生の中で行ったことが無い場所というのがあります。たとえば遊園地に行ったことがありません。両親が忙しかったこともあって遊園地へ行かぬまま育ち、その後も上や下を通過した…

初夏の三島楽寿園

三島駅からほど近いところに楽寿園という公園があります。その楽寿園の中にあるのが楽寿館という建物で、明治期に小松宮家の別邸として建てられてそれがいまでもほぼ現存していています。 内部は先行する修学院離宮などを参考にしたと思われる凝った装飾もあ…