読んだもの

中公新書「感染症(増補版)」を読んで

第三波が来てから読むのは遅すぎるかもしれませんが、ここのところ「感染症」(井上栄・中公新書2020増補版)を読んでいました。すごく勉強になりました、で済ましてよいのかわからないので書きます。 本書はまず2003年に香港などで流行したSARSを例に「なぜS…

「有頂天家族」を読んで

森見登見彦さんの有頂天家族(幻冬舎文庫)を読みました。面白かったです!で済ますのはもったいないのでいくらか書きます。 多少のネタバレになるのをお許し願いたいのですが主人公は狸で、出てくるのは主人公の狸のほかには天狗と人間です(こう書くとなに…

「民衆暴力」を読んで(もしくは貧困の自己責任論の萌芽について)

私は怠惰な人間なので、仕事以外ではあまり予習はしません。行った土地で引っかかったことがあるとあとで調べることがあります。明治時代の武装蜂起である秩父事件について教科書には載っていたはずだけどどんなものかはちゃんと説明できないことに先月に秩…

「煙たい男」

義務教育の頃に「なんでこんなものを読まされなければならないのだろう」という作品がありました。筆頭は森鴎外の舞姫です。恋路とおのれに課せられた使命とどっちをとるの?という作品なのかもといまは気が付きますが、コイと云えばカープくらいしか知らず…

逃した魚のこともしくは「私の開高健」を読んで

私は本をたくさん読んでいるわけではありません。なのではてなの今週のお題が「2020年上半期」なんすけど他人にすすめられるほど本は読んでいません。ただ何冊かは読んでいます。 その中に「私の開高健」(細川布久子・集英社・2011)という本がありました。…

「もっとコロッケな日本語を」

社会人になって資金に余裕ができて本を買って読みたいと思いつつも本をたくさんは読めてはいません。しかし少ないながらも読んだ本があとから効いてくる本があります。 東海林さだおさんの「もっとコロッケな日本語を(文春文庫・2006)」もそのひとつです。…

「君の膵臓をたべたい」を読んで

先日、「君の膵臓をたべたい」の映画を観たこと・若干刺さったものがあったことを書いています。19日に県境をまたいでの移動が解除になり、でも7月の盆の頃がどうなってるのかわからないので両親の眠る神奈川へ週末に行ってて、その往復の電車の共として原作…

私を構成する5つのマンガ(40代のおっさん編)

仕事やコロナにまつわるあれこれを書くとしんどくなってくる、ので、拝読させてもらってるブログを書いてる複数の方がやっているのを見て便乗してのっかります。 〇小学館学習まんが少年少女日本の歴史 私は鼻血が出やすくて耳鼻咽喉科によく通っていたので…

歴史を紀行する

「歴史を紀行する」(文春文庫・1976)という司馬遼太郎さんの紀行文集があります。取り上げられてるのは土佐や吉備、近江などですが、歴史にとどまらずときには脱線して(瀬戸内の人間がストーリーテラーになりやすいのに対し)太宰治であるとか宮沢賢治で…

二十の頃の分岐点

けっして裕福な家に育ったわけではないので書くとおのれがいくらかみじめになるのだけど、大学生時代に欲しいと思った本が自由にすべて手に入ったわけではありませんでした。なので大学からバイト先まで地下鉄で2駅ほどなので歩けないことはないのでできれば…

citrus「Whereabouts of love」

citrusというアニメを途中から視聴して最後まで見て、そのあと後日談が知りたくなって原作に手を出していることを先日書いた記憶があります。義理の姉妹になった性格の異なる女子高生2人(姉の藍原柚子、妹の藍原芽衣)が主人公のラブストーリーです。 gusta…

隼人発声

いまの上皇陛下が天皇時代にがんの治療のための通院から戻る道中、冬でも窓を全開にして手を振ってるのを目撃して、(死んだ母親ががんであったので多少の知識があって)いまやってるはずなのはホルモン療法だから白血球が減少して風邪をひきやすくなるわけ…

citrus「the way I love」

小学校の教科書に「附子」という狂言があり、毒だから近づくなと言われたんだけどのぞきこんでしまい気になって舐めてしまうのだけど、なぜなめたかということの理由を無理矢理考え出さねばならなくなり、茶碗と掛け軸を割って「(大事なものを壊したので)…

土井善晴のレシピ100

少し前に書いたことと重複しますが(血圧は問題ないのでたぶん心臓のほうを考慮してるのだと思うのですが)念のために当座一日の塩分摂取量をなるべく6gから10gの間におさまるように、という指示をドクタから受けています。この事態になるまで知らなかったこ…

仮の解にたどり着くまで及び上野名誉教授の祝辞を読んでの雑感

雇用機会均等法というのがあります。それを知ったのは90年前半の高校生の頃です。男子校だったのですが現国および古典の先生として女性教諭がいて、雇用機会均等法の施行により就職したというのを現国および古典とは関係ないおそらく公民分野の授業で教えら…

フラワー=デストロイヤー

すこし前に「ここはグリーン・ウッド」のことを書いた記憶があります。連載誌が「花とゆめ」という少女漫画だったせいもありコミックスも花とゆめで、「男らしくありたい」と考えていたので住んでいる街では買わず別の街でこっそり買っていたことも書いてる…

歳をとるこということもしくは羊羹の話

吾輩は猫であるのなかで苦沙弥先生が甘いものを相当食べてることをうかがわせる会話があります。 「元来ジャムは幾缶舐めたのかい」「今月は八つ入りましたよ」「八つ? そんなに舐めた覚えはない」「あなたばかりじゃありません、子供も舐めます」「いくら…

毎日かあさん

ずいぶん前のことなのですが忘れることのできないことってのがないわけではありません。 忙しいときにそこまでつっつくのかというくらい細かいところをつっついてプチ否定してくるちょっと年上の人がいてそれに触れるたびにどんよりして、でも限りなく難癖に…

英国一家、ますます日本を食べる

NHKでアニメを流していて、「英国一家、ますます日本を食べる」はその番組の元ネタとなった本であったりします。著者(マイケル・ブースさん)とその一家が日本(三重県や東京都、沖縄県、静岡県等)を旅して日本の食文化に触れる紀行、という説明がいちばん…

カチンときた時の対処法

テレビ東京系で、ローカル路線バス乗継の旅というのがあります。誠実で責任感がある太川陽介さんと粘り腰でマイペースな蛭子能収さんが女性ゲストを迎えて3泊4日で路線バスを乗り継いでゴールまで行けるかという趣旨で、不定期で毎年3回くらい放送されます。…

辻井喬さんのこと

「けものみちは暗い」という短編集がありました。私が高校生くらいのときには文庫になってた本です。安珍の物語を題材にした僧の話「燃え尽きた蛇」や極楽を追えば追うほど遠のいてしまう「高麗雉子になった男」など、人のなかに獣を見るような、刺さるよう…

そのまんま日記

違う目的で読んでた本で、腑に落ちる言葉を見つけると、言葉を見つけたはずなのに更なる説明の言葉を失います。 なもんですから、そのまま引用します。 時間的・空間的な移動(旅)は、人になんとも言えないエネルギーとドラマをくれる。 見知らぬ空間を観る…

「花のもとにて」堀田あけみ

花のもとにて (角川文庫)作者: 堀田あけみ出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2000/01メディア: 文庫 クリック: 7回この商品を含むブログ (5件) を見る大学生のころ、めずらしく衝動買いした本です。かっこよく優しい大学院生の先輩に憧れて大学院に進学した…

石原慎太郎著「国家なる幻影」

国家なる幻影―わが政治への反回想作者: 石原慎太郎出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1999/01メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (10件) を見る石原慎太郎という政治家の思想信条は別にして作家としてのシニカルな視線が気にはなっていて、…

読書バトン

鏡花水月/若桜みきさんのところから許可を得て貰ったバトンです。 【1. いつ頃から本が好きになりましたか?】 中学生になってから。小学生のころはあまり読まなかったです。【2. 家族に本好きな人はいますか?】 いません。けど、実家には戦前の谷崎訳の…

『カリスマ』

カリスマ作者: 佐野眞一出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 1998/07/07メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (12件) を見る ダイエーを知らない日本人はいないと思います。今でこそ産業再生機構を経て丸紅主導で再建途上の会社ですが、かつて…

読書感想文「ホンダ神話」

ホンダ神話―教祖のなき後で (文春文庫)作者: 佐藤正明出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2000/03/10メディア: 文庫 クリック: 8回この商品を含むブログ (7件) を見る天才技術者・本田宗一郎の名前は自動車に詳しくなくとも誰だって知ってると思います。本田…