読んだもの

『小澤征爾さんと、音楽について話をする』を読んで

バカにされそうなことを書きます。 前に『コンサートは始まる』(カール・A・ヴィーランド著・木村博江訳・音楽之友社・1990)というボストン響のドキュメントの本を読んでいます。その本の中で小澤さんは曲を研究する際に分解し、重要と思える「集結点」を…

『古文書返却の旅』を読んで(もしくは江戸期の輪島について)

小さい頃に塩山という街へよく行っていたのですが、高尾から先、塩山の一つ手前の勝沼まで中央線はずっと山の中で、その勝沼は駅からぶどう畑が見えます。日本史などを勉強するようになると機械的に墾田永年私財法とか覚えさせられたのですけど、あの勝沼の…

「だから」「ですから」について(もしくは『防衛事務次官冷や汗日記』を読みながらのメモ)

たぶん前にも書いたはずなのですが社会人になってそれほど時間が経過していなかった頃、直接の命令系統には属さぬもののなにかと目をかけてくれたKさんという先輩が居ました。私が関係していたことで手こずっていたときにそのKさんがアドバイスをしてくれ、…

「深い」もしくは「深さ」について

はじめて人に説明する立場になったとき、使った言葉について質問を受けることがありました。そんなことが起きた原因は、自分が知ってるからといって他人が知ってるとは限らないことに起因します。そのときは平易な言葉で説明できましたが、その体験があって…

犬張子の謎(もしくは磯田道史『日本史の内幕』を読んで)

特に意識したわけでは無いものの結果として異性と結婚もせず、したがって子供がいるわけではありません。知り合いなどに子が産まれてそれを知らされると「お祝いを送らなくちゃ」と考えるものの役に立つものがわからず、最初は知識がないので一時期はタオル…

井伏鱒二展見学

これから「ばーかばーか」といわれそうな話をします。 井伏鱒二の『山椒魚』を読んだのは中学の教科書であったかそれともなにかのテストの模試であったかかなり記憶があいまいで、でも初見時に「山椒魚の気持ちなんて人間にどうしてわかるのかよ?」という素…

『十八番の噺』を読んで(もしくは金明竹のこと)

世の中にはたくさん本を読んでいる書評家というのが居るのは知っていて、しかしそれほど読んでないやつが読んだ本について書いてなんの意味があるのか?とここのところ自問自答していますが、答えがあるわけではありません。ただ読んで考えさせられた本はあ…

『司馬遼太郎で学ぶ日本史』を読んで

『司馬遼太郎で学ぶ日本史』(NHK出版新書・磯田道史・2017)という本を読みました。司馬遼太郎作品のすべてを読んでいないのと磯田先生が書いたとはいえ作品を通して日本史を眺めてなにになるの?というひねた見方をしていたので買っておきながら長いこと積…

『作りたい女と食べたい女4』を読んで

最近『作りたい女と食べたい女4』(ゆざきさかおみ・KADOKAWA it comics・2023)というマンガを読んでいます。マンガをたくさん読んでいる人が世の中に居て、昼間働いているので時間が限られそれほど読めるわけでもなく、なのであんまり数を読んでいるほうで…

『神さまがまちガえる』3巻を読んで

『神さまがまちガえる』(仲谷鳰・KADAKAWA電撃コミックスNEXT)の3巻を今夏読んでいます。おもしろかったです…で済ますのがもったいないので、もう少し書きます。 本作はシェアハウスの大家でかつ研究者でもある姫崎かさねとシェアハウスの住人でかつ学生で…

『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』を読んで

『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』(鴨志田一・電撃文庫・2023)を読みました。おもしろかったです…で済ますのがもったいないので、本をたくさん読んでるわけでもなければレビューを作成するほどの読解力もありませんが、書きます。 いつものよ…

『豪商の金融史』を読んで(もしくは破たんを回避するための第三者の目の必要性について)

今年に入ってから『豪商の金融史』(高槻泰郎編著・慶応大学出版会・2022)という本を読んでいます。本書は大阪の豪商であった加島屋(廣岡家)について江戸期から明治にかけて追った本で、特に幕末から明治大正まで大坂の豪商として加島屋がどのように生き…

細川家の借金に対する姿勢について(もしくは『豪商の金融史』を読んで)

今月に入ってから『豪商の金融史』(高槻泰郎編著・慶応大学出版会・2022)という本を読んでいます。本書は大阪の豪商であった加島屋(廣岡家)について江戸期から明治にかけて追った本で、特に幕末から明治大正まで大坂の豪商として加島屋がどのように生き…

『神さまがまちガえる』2巻までを読んで

『神さまがまちガえる』(仲谷鳰・KADAKAWA電撃コミックスNEXT)を最近読みました。おもしろかったです…で済ますのがもったいないので、もう少し書きます。 いつものように幾ばくかのネタバレをお許しください。 本作はシェアハウスの大家でかつ研究者でもあ…

民法762条1項のこと(もしくは『歴史の中で語られてこなかったこと』を読んで)

日本の民法はフランスの民法の影響があるといわれますが、明確に違う部分があります。そのひとつが民法762条1項に「夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする」という…

節分の豆の謎(もしくは「中世の飛礫について」を読んで)

この時期になると節分関連の豆をヨーカドーなどでみかけるようになりますが「なんで豆で鬼が逃げるのか」という趣旨のことを数年前に問われたことがあります。別に正解を云えと問われてたわけではないものの、たしかに不思議な話です。数秒考えて、鬼は歯が…

『暁の宇品』を読んで

『暁の宇品』(堀川惠子・講談社・2021)という本を読みました。宇品というのは広島市南部の港がある地名で、暁というのはそこに駐在した陸軍の船舶部門の通称です。本書は満州事変当時トップであった田尻司令官および終戦時トップであった佐伯司令官につい…

『青春ブタ野郎はマイスチューデントの夢を見ない』を読んで

『青春ブタ野郎はマイスチューデントの夢を見ない』(鴨志田一・電撃文庫・2022)を読みました。おもしろかったです…で済ますのがもったいないので、本をたくさん読んでるわけでもなければレビューを作成するほどの読解力もありませんが、書きます。 本作の…

『作りたい女と食べたい女3』を読んで(もしくは善意で囲まれたときの息苦しさのこと)

マンガをたくさん読んでいる人が世の中に居て、昼間働いているのでそれほど読めるわけでもなく、なのであんまり読んでいるほうではない奴が読んだ本やマンガについて何か書くということに抵抗を覚えていることを何度か書いています。ましてやこれから感想を…

『その着せ替え人形は恋をする』9巻10巻を読んで(もしくはアニメやマンガを好む大人の存在について)

今冬の第六波の頃に『その着せ替え人形は恋をする』というアニメを視聴し、その後順調に(…順調に?)原作にも手を出しています。着せ恋はコスプレがしたい喜多川さんといちおう裁縫が出来る五条くんが試行錯誤する物語で、アニメは5巻までに相当し9巻10巻は…

『刀の明治維新』

「おまえオモシロイな」と面と向って云われたことが以前あって、それは本人は面白いことをいったつもりがないにもかかわらずのことだったので、それ以降面白いというのはなんなのか?ということが気になっています。私にオモシロイといった人は(かつての)…

続・安政5年夏の状況(「安政コレラの感染経路を探る」を読んで)

万人受けしそうにない、細かい幕末の感染症のことを書きます。 秩父に三峯神社という古社があります。去年の夏に社務所でわけていただいた冊子「みつみ祢山」251号の中に「秩父地方の疫病除け」(高橋寛司著)という記事がありました。幕末にコレラや麻疹な…

『その着せ替え人形は恋をする』7巻8巻を読んで(もしくは「男らしさ」の得体の無さ)

今冬の第六波の頃、『その着せ替え人形は恋をする』というアニメを視聴していました。原作にも手を出しています。着せ恋はコスプレがしたい喜多川さんといちおう裁縫が出来る五条くんが試行錯誤する物語でアニメは5巻までに相当し、『その着せ替え人形は恋を…

解決してない何度も遭遇する最大のピンチ

よく覚えとけ。現実は正解なんだ。時代が悪いの、世の中がおかしいと云ったところで仕方ない。現実は事実だ。そして現状を理解、分析してみろ。そこにはきっと、なぜそうなったかという原因があるんだ。現状を認識して把握したら処理すりゃいいんだ。その行…

『中世の風景(下)』を読んで(もしくは鐘について)

いま住んでいる街には修道院が二つあって、その修道院のどちらかは朝になると鐘が鳴ります(それが聞こえる)。その鐘がどういう意味かは訊いたことはないけどお祈りの合図なのではないか、と想像しています。話がすっ飛んで恐縮なのですが・短絡的で恐縮で…

『その着せ替え人形は恋をする』6巻を読んで(もしくは投げつけられた「気持ち悪い」について)

今冬の第六波の頃、『その着せ替え人形は恋をする』というアニメを視聴していました。原作にも手を出しています。着せ恋はコスプレがしたい喜多川さんといちおう裁縫が出来る五条くんが試行錯誤する物語でアニメは5巻までに相当し、『その着せ替え人形は恋を…

『作りたい女と食べたい女2』

小説やマンガをたくさん読んでいる人が世の中に居て、昼間働いているのでそれほど読めるわけでもなく、なのであんまり読んでいるほうではない奴が読んだ本やマンガについて何か書くということに相変わらず抵抗を覚えているのですが、なにも書かずにいるのが…

『作りたい女と食べたい女1』

本やマンガをたくさん読んでいる人が世の中に居て、昼間働いているのでそれほど読めるわけでもなく、なのであんまり読んでいるほうではない奴が読んだ本やマンガについて何か書くということに最近若干の抵抗を覚えているのですが、なにも書かずにいるのがち…

「ぼくの叔父さん 網野善彦」を読んで

「ぼくの叔父さん 網野善彦」(中沢新一・集英社新書・2004)という本を読みました。ここを誰が読んでいるかわからないのでちゃんと書くと中沢新一さんは宗教学者で、網野善彦さんというのは2004年に亡くなった歴史学者です。本書は当事者でしかわからぬ網野…

当代の三平師匠のこと(もしくはある小説を読んでの雑感)

小説に書かれていることが事実であるかどうかを問うのはきわめて不粋なことと承知しつつも、「もしほんとであったらしんどいな」という部類の小説をいくつか読んだことがあります。その筆頭が立川談四楼師匠の「談志が死んだ」(立川談四楼・新潮社・2012)…