読んだもの

「有頂天家族」を読んで

森見登見彦さんの有頂天家族(幻冬舎文庫)を読みました。面白かったです!で済ますのはもったいないのでいくらか書きます。 多少のネタバレになるのをお許し願いたいのですが主人公は狸で、出てくるのは主人公の狸のほかには天狗と人間です(こう書くとなに…

「民衆暴力」を読んで(もしくは貧困の自己責任論の萌芽について)

私は怠惰な人間なので、仕事以外ではあまり予習はしません。行った土地で引っかかったことがあるとあとで調べることがあります。明治時代の武装蜂起である秩父事件について教科書には載っていたはずだけどどんなものかはちゃんと説明できないことに先月に秩…

「煙たい男」

義務教育の頃に「なんでこんなものを読まされなければならないのだろう」という作品がありました。筆頭は森鴎外の舞姫です。恋路とおのれに課せられた使命とどっちをとるの?という作品なのかもといまは気が付きますが、コイと云えばカープくらいしか知らず…

逃した魚のこともしくは「私の開高健」を読んで

私は本をたくさん読んでいるわけではありません。なのではてなの今週のお題が「2020年上半期」なんすけど他人にすすめられるほど本は読んでいません。ただ何冊かは読んでいます。 その中に「私の開高健」(細川布久子・集英社・2011)という本がありました。…

「もっとコロッケな日本語を」

社会人になって資金に余裕ができて本を買って読みたいと思いつつも本をたくさんは読めてはいません。しかし少ないながらも読んだ本があとから効いてくることがあります。 東海林さだおさんの「もっとコロッケな日本語を」(文春文庫・2006)もそのひとつです…

「君の膵臓をたべたい」を読んで

先日、「君の膵臓をたべたい」の映画を観たこと・若干刺さったものがあったことを書いています。19日に県境をまたいでの移動が解除になり、でも7月の盆の頃がどうなってるのかわからないので両親の眠る神奈川へ週末に行ってて、その往復の電車の共として原作…

私を構成する5つのマンガ(40代のおっさん編)

仕事やコロナにまつわるあれこれを書くとしんどくなってくる、ので、拝読させてもらってるブログを書いてる複数の方がやっているのを見て便乗してのっかります。 〇小学館学習まんが少年少女日本の歴史 私は鼻血が出やすくて耳鼻咽喉科によく通っていたので…

「青春ブタ野郎は迷えるシンガーの夢を見ない」を読んで

言葉というのはものによってはよくわからないものがあります。その言葉の意味を問うても明確には答えられなかったりします。たとえば『みんな』です。 「みんなは反対したけどお母さんは私を産んで、今日まで育ててくれたんだなーって思ったら、『みんな』っ…

歴史を紀行する

「歴史を紀行する」(文春文庫・1976)という司馬遼太郎さんの紀行文集があります。取り上げられてるのは土佐や吉備、近江などですが、歴史にとどまらずときには脱線して(瀬戸内の人間がストーリーテラーになりやすいのに対し)太宰治であるとか宮沢賢治で…

二十の頃の分岐点

けっして裕福な家に育ったわけではないので書くとおのれがいくらかみじめになるのだけど、大学生時代に欲しいと思った本が自由にすべて手に入ったわけではありませんでした。なので大学からバイト先まで地下鉄で2駅ほどなので歩けないことはないのでできれば…

「洋酒天国とその時代」

「洋酒天国とその時代」(小玉武・筑摩書房・2007)という本を古本屋で見つけて今秋、時間があるときにちらっちらっと読んでいました。洋酒天国というのは洋酒の寿屋、今のサントリーが昭和30年代に寿屋のお酒を出していたバーに常連客に渡してもらうために…

隼人発声

いまの上皇陛下が天皇時代にがんの治療のための通院から戻る道中、冬でも窓を全開にして手を振ってるのを目撃して、(死んだ母親ががんであったので多少の知識があって)いまやってるはずなのはホルモン療法だから白血球が減少して風邪をひきやすくなるわけ…

citrus「the way I love」

小学校の教科書に「附子」という狂言があり、毒だから近づくなと言われたんだけどのぞきこんでしまい気になって舐めてしまうのだけど、なぜなめたかということの理由を無理矢理考え出さねばならなくなり、茶碗と掛け軸を割って「(大事なものを壊したので)…

「玉、砕ける」と香港情勢

何回も引用しているのですけど開高健さんの「玉、砕ける」という短編小説があります。イギリス植民地時代の戦後の香港で食事しながら友人に 白か黒か。右か左か。有か無か。あれかこれか。どちらか一つを選べ。選ばなければ殺す。しかも沈黙していることはな…

土井善晴のレシピ100

少し前に書いたことと重複しますが(血圧は問題ないのでたぶん心臓のほうを考慮してるのだと思うのですが)念のために当座一日の塩分摂取量をなるべく6gから10gの間におさまるように、という指示をドクタから受けています。この事態になるまで知らなかったこ…

仮の解にたどり着くまで(及び上野名誉教授の祝辞を読んでの雑感)

雇用機会均等法というのがあります。それを知ったのは90年前半の高校生の頃です。男子校だったのですが現国および古典の先生として女性教諭がいて、雇用機会均等法の施行により就職したというのを現国および古典とは関係ないおそらく公民分野の授業で教えら…

フラワー=デストロイヤー

すこし前に「ここはグリーン・ウッド」のことを書いた記憶があります。連載誌が「花とゆめ」という少女漫画だったせいもありコミックスも花とゆめで、「男らしくありたい」と考えていたので住んでいる街では買わず別の街でこっそり買っていたことも書いてる…

この数か月で読んだ本のこと2もしくはちょっとした後悔

恥ずかしながらなにかをしながら別のことをする、ということが出来ません。電話を受けながらメモをしていたとしても文章では書けず重要なキーワードをメモしてあとで要旨をまとめてますし、えっちなことをしながら頭の中で素数を数えたこともありません。レ…

この数か月で読んだ本のこと1もしくは答えのない問題(再追記あり)

何回か引用しているのですけど開高健さんの「玉、砕ける」という短編小説があります。香港で食事しながら友人に 白か黒か。右か左か。有か無か。あれかこれか。どちらか一つを選べ。選ばなければ殺す。しかも沈黙していることはならぬといわれて、どちらも選…

かのこちゃんとマドレーヌ夫人

徳島で人が通らないような道で迷いかけたとき犬が先導してくれたことがありました。まいったなと悩んでるこちらを一瞥したあとその犬が歩きはじめ、その犬についていかねばならぬような気になってついてゆくと目的地にたどり着きました。なにかエサになるよ…

歳をとるこということもしくは羊羹の話

吾輩は猫であるのなかで苦沙弥先生が甘いものを相当食べてることをうかがわせる会話があります。 「元来ジャムは幾缶舐めたのかい」「今月は八つ入りましたよ」「八つ? そんなに舐めた覚えはない」「あなたばかりじゃありません、子供も舐めます」「いくら…

続・読書の秋(紅旗征戎非吾事について)

中学のときだったか、百人一首のテストがありました。30だか50だかを覚えて、それを書けなければ居残りでできるまでずっとテスト、ということがありました。幸いにして一発でなんとかなりましたが、覚えるのは機械的です。「あいみてののちの心に比ぶれば昔…

読書の秋

私は本を読んでいるかといったらそんなにたくさん読んでいません。ですから童貞が非童貞に持つような劣等感が本をたくさん読むような人に対してあります。劣等感がありますから読書に関してなにか書くときには若干のうしろめたさがあります。でもって村上主…

人物叢書「大正天皇」(追記あり)

大正時代というのは関東大震災や大正デモクラシーなど受験日本史ではやるのですが、明治天皇に比べて大正天皇の記述というのはあんまり記憶がありませんでした。つい最近に日光の田母沢御用邸へ行き田母沢御用邸が皇太子時代の大正天皇のために作られ、また…

毎日かあさん

ずいぶん前のことなのですが忘れることのできないことってのがないわけではありません。 忙しいときにそこまでつっつくのかというくらい細かいところをつっついてプチ否定してくるちょっと年上の人がいてそれに触れるたびにどんよりして、でも限りなく難癖に…

転移

「文学を殺したのはだあれ?私だわ、と大江健三郎はいった」という文章が、私の大学生時代にかかれてます。私はバイト先で写真のセクションにいたのですが隣が図書資料関係でそこにあるものは好き勝手読んでいいよ、という環境だったので、幸か不幸か私はあ…

英国一家、ますます日本を食べる

NHKでアニメを流していて、「英国一家、ますます日本を食べる」はその番組の元ネタとなった本であったりします。著者(マイケル・ブースさん)とその一家が日本(三重県や東京都、沖縄県、静岡県等)を旅して日本の食文化に触れる紀行、という説明がいちばん…

黒い雨

NHKBSで映画版の「黒い雨」を放送していた(はず)なんすが、検索で来る人のために念のため、書いておきます。映画版は「遥拝隊長」のモチーフを織り交ぜたりしてて、原作とはちょっと異なります。ピカドンに限らず戦争が人に与えた影響ってのを考えるとき、…

赤めだか

はてなのお題が「最近おもしろかった本」ですが、「おもしろい」ってのは難しかったりします。 小学校高学年だったか中学の教科書に「附子」という狂言があって、毒だから近づくな、と言われたんだけどのぞきこんでしまい、気になって舐めてしまうのだけど、…

女のいない男たち・木野

前にも書いたかもしれないのですが、村上春樹さんが質問に答えるスタイルの「村上さんのところ」というサイトがあって、はてなが協力しているせいか問答をたまに閲覧することがあります。その中である問いに答えて、きついことやつらいことを体験した時に、…