ことば

現実からちょっと目をそらす

ここのところしばらくなにかを書こうとするとはてなの今週のお題「元気を出す方法」に絡んで編集画面では「あなたの元気の出し方を教えて」という文句が問答無用で毎日出てきます。それを眺めてて「元気って出すものなのか?」という素朴な疑問があります。…

「マジか」

毎朝キリマンジャロのコーヒーを欠かさないのですが豆はタンザニアからの輸入で、ここしばらく円が安くなったせいか値段は以前より高くなりました。もっとも長年舌に慣れたものを変える気にはなれず、8のつく日にヨーカドーで買うと安くなるのでそこで狙って…

幕見席から眺めていた役者の悲しい報道に接してその5(もしくは「視野が狭い」について)

何度か書いていることなのですが「命より大事なものがありますか?」といったとき、この国ではある程度の確率で「命より大事なものは無い」という返答が返ってくると思われます。自殺そのものを罪とする条文はないものの「命より大事なものは無い」という発…

「だから」「ですから」について(もしくは『防衛事務次官冷や汗日記』を読みながらのメモ)

たぶん前にも書いたはずなのですが社会人になってそれほど時間が経過していなかった頃、直接の命令系統には属さぬもののなにかと目をかけてくれたKさんという先輩が居ました。私が関係していたことで手こずっていたときにそのKさんがアドバイスをしてくれ、…

「深い」もしくは「深さ」についてその2

gustav5.hatenablog.com という記事を書いたあと nonavias.hatenadiary.jp 言及いただいたので書いておきます。 個人的な経験から書くと私は井伏さんの『黒い雨』を読んでピカドン直後や戦後の日常についての細部の描写が作品に「深さ」を出してるのではない…

Hot potato問題

ローカルな話をして恐縮なのですが、中央線の下り電車は高尾駅を過ぎると甲府盆地の東端の勝沼までずっと山の中を走ります。桂川の川べりに水田が全くないわけではないもののわずかで、山を抜けた勝沼とて正式な駅名は勝沼ぶどう郷でぶどうの産地です。死ん…

「深い」もしくは「深さ」について

はじめて人に説明する立場になったとき、使った言葉について質問を受けることがありました。そんなことが起きた原因は、自分が知ってるからといって他人が知ってるとは限らないことに起因します。そのときは平易な言葉で説明できましたが、その体験があって…

三島の謎

褒めてるのか貶しているのかわからない表現が世の中にあって、実際に京都で使われてるのか知らないものの唸らされたのが「お化粧巧いですね」という言葉です。男なので非常に書きにくいのですが静岡の民謡にノーエ節(もしくは農兵節)というのがありその中…

『十八番の噺』を読んで(もしくは金明竹のこと)

世の中にはたくさん本を読んでいる書評家というのが居るのは知っていて、しかしそれほど読んでないやつが読んだ本について書いてなんの意味があるのか?とここのところ自問自答していますが、答えがあるわけではありません。ただ読んで考えさせられた本はあ…

「アタル」もしくは「カイコがアタル」

いまとなってはよくわからない言葉があったりします。たとえば歌舞伎の助六由縁江戸桜という作品の中で皮肉をいう上から目線の意休に対して助六が反論しつつも最後に「ええ、つがもねえ」吐き捨てる場面があります。この「つがもねえ」は私は前後の文脈から…

佃煮にするほど

たとえば「〇〇ですね」というとき、確認を求めたり同意を求めたりの意味合いがあるはずです。そこにその人の納得を表す「なるほど」という語句がついて「なるほどですね」となると、納得+同意もしくは納得+確認となってしまうので、仮に「なるほどですね」…

誰も悪くないときの「すいません」問題

社会人になってそれほど時間が経ってなかった頃に直接の命令系統には属さぬもののなにかと目をかけてくれたKさんという先輩が居ました。私が関係していたことで手こずっていたときにそのKさんがアドバイスをしてくれたのですがそのときつい「すいません」と…

韻を意識しだしたことについての個人的な歴史

私が10代の一時期、越前屋俵太さんが出ていた頃の探偵ナイトスクープは東京だと土曜の午後にやっていて、残念ながら毎週視聴していたとはいえないものの、上岡局長時代はチャンスがあれば視聴していました。もっとも内容はほとんど覚えていません。唯一強烈…

英国の首相と藤の花を分けるもの

勤労学生であったので大学生の頃にバイトをしていてそのバイト先の隣のセクションの手伝いをしていたときに、そこの上役にあたる人が「巻き尺が必要だな」といえばいいところを「英国の首相が必要だな」とぼそっとつぶやきました。当時の英国の首相がジョン…

贈与と毒(もしくは『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』を視聴して)

いつものようにくだらないことを書きます。 MXはなぜか夜にアニメを流していて、最近『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』(佐伯さん・GA文庫)というのをすべての回をきちんと視聴してるわけでは無いものの今冬チラ見していました。いくば…

「直情的」雑感

社会人になって最初、大阪に放り込まれています。直属の上司ではないのだけど職場にAさんという先輩が居ました。比較的怒りっぽい人で、たぶん何度か書いてるかもしれないのですが「おつかれさまです」という挨拶に虫の居所が悪かったのか「あんな、まだわた…

「おみくじを拾う」

坂の上の雲の中に療養中の正岡子規が松山のお寺でおみくじを拾うシーンがあります。拾うと書かれてる以上、どこかに結んであったものが解けてしまったのかもしれませんがそのおみくじは凶で、病は長引くけどいのちはさわりなし、と書かれていたことになって…

「つく」「つける」(もしくは乾いた洗濯ものを見ての実感)

必要があって帳簿をつける仕事の経験があります。さらっと「帳簿をつける」と書きましがこの「つける」ってのが謎で、わさび漬の漬けではないことは確かですが、「染みがつく」という言葉があるくらいですから、あとに残るような行為を前提にした行為を「つ…

『その着せ替え人形は恋をする』6巻を読んで(もしくは投げつけられた「気持ち悪い」について)

今冬の第六波の頃、『その着せ替え人形は恋をする』というアニメを視聴していました。原作にも手を出しています。着せ恋はコスプレがしたい喜多川さんといちおう裁縫が出来る五条くんが試行錯誤する物語でアニメは5巻までに相当し、『その着せ替え人形は恋を…

投書階級(もしくは統制を可能にするもの)

毎日新聞は月に一度、近代史の専門家の(読み応えのある)寄稿を載せます。今年は井上寿一学習院大教授で、今月の15日付朝刊では西大寺の事件を踏まえて二二六など過去のテロ事件的な直接行動の事例をあげ、しかしそれらが時代の潮流を変えることはなく、ま…

「ゴリラゲイ雨」雑感(そのダジャレ未満の背後にあるものの怖さ)

繰り返し書いているのですが笑いというのは「笑わせる」ものと「笑われる」ものにわけることが出来ます。「笑わせる」のはわりと技量や技術が必要で、落語や漫才では秀でている専門家のことを芸人とか師匠と読んだりします。笑わせる技量や技術が無い人がや…

「ナンバ・テン」(もしくは、スラングのこと)

「今朝の『タン・ニェン』を読みましたか」 「いや、読んでいません」 「ひどいもんです。ひどいにもほどがある。ナンバー・テン。兵隊に言わせればナンバー・テンです」 「兵隊ならナンバー・テンではなくて、ナンバ・テン。またはナンバ・テン・タウ(Nnbe…

「マイクロアグレッション」雑感

8日付毎日新聞朝刊にマイクロアグレッションという概念の説明の記事がでていて、私はカタカナ語が苦手でなるべく避けてきたので限りなく初耳に近いのですが、興味深く読みました。簡単にいえば従来の差別とはまた別の多数派からマイノリティに対する「あから…

「その着せ替え人形は恋をする4話」を視聴して(もしくは言語による意思疎通の難しさについて)

小学校の国語の教科書に「附子」という狂言がありました。毒だから近づくなと云われつつ覗き込み、気になって舐めてしまい、なぜなめたかということの理由を無理矢理考え出さねばならなくなり、茶碗と掛け軸を割って「(大事なものを壊したので)死んで詫び…

「その着せ替え人形は恋をする」3話を視聴して(もしくは曖昧な言葉を前にして)

東京というより南関東では半月前に比べて(船橋の救急病院でクラスターが発生するなど)ちょっとシビアな状況に陥りつつあります。のですが、半月前と同じように朝起きて出社して数字とにらめっこしたりしています。ここでも半月前と同じようにくだらぬこと…

「その着せ替え人形は恋をする」2話までを視聴して(もしくは「推し」にまつわる言葉の通じなさについて)

東京は再びシビアな状況に陥りつつあるのですが、いつものようにくだらぬことを書きます。 はてな以外のユーザーの人がここを見ていたらなんのこっちゃになるので書いておくと気になった記事を記録できるはてなブックマークというサービスがはてなにはありま…

「自己有用感」(もしくは「なにかを読んで別のなにかを理解すること」について)

世の中どんどんシビアな方向へ全速力で向かってる気がするのですがいつものようにくだらないことを書きます。 一昨年から「青春ブタ野郎シリーズ」というラノベを読んでいてここで書いてきていて、そして最新刊が一昨年の「青春ブタ野郎はナイチンゲールの夢…

2日、西武柳沢で(もしくは「ちょっと変」)

去年、奥秩父の三峰へ行ったときに「神主さんの日常」(瀬上あきら著・マッグガーデン・2013)という三峯神社が協力したマンガを買っています。神主さんがどういう日常(婚活を含む)を送ってるのかというのを含め絵馬や神饌についての解説などが書かれてい…

「今日の仕事は楽しみですか?」雑感

それをどこで読んだのか全く記憶が無いのだけど中島らもさんが以前、「仕事と愛」だったか「ビジネスと愛」だったかについて書いていました。上司と部下が恋仲になってしまった挙句に在庫管理をしなければならぬ倉庫で(よいこはわかんなくていいような)い…

花の名前(もしくは先入観のこと)

出勤時・退勤時に江戸時代にできた上水路の脇を通ります。その上水路にはヒガンバナが植わっています。ヒガンバナの根っこに毒があり、なので水路をネズミやモグラから守るの意味合いで植えられたと思われます。もちろん誰が植えたかはわかりません。そろそ…