三島の謎

褒めてるのか貶しているのかわからない表現が世の中にあって、実際に京都で使われてるのか知らないものの唸らされたのが「お化粧巧いですね」という言葉です。男なので非常に書きにくいのですが静岡の民謡にノーエ節(もしくは農兵節)というのがありその中に「三島女郎はお化粧が長い」という歌詞があって、長くなった化粧の挙句、客を怒らせています。三島の事例が示すように世の中には化粧が巧くない人もいるはずでそこらへん考えると京都のほうは個人的にはテクニックを褒めてると思ってるのですが、誉め言葉になるのかどうかはほんとのところはわかりません…ってそんな話をしたかったわけではなくて。

血液型のせいにするのはよくないと思うものの私はB型で、いくらか冒険したがるところがあります。下旬になって鍋ものが苦ではない天候ということもあって、鍋物の材料を買った時にいつもだったら鱈にするところをその日は冒険心が疼き、値段はいくらか上なもののオコゼにしました。食べたことがなかったので念のため店の人に鍋物に入れても問題ないですよね?と確認し、煮過ぎなければ、というアドバイスを貰っています。実際煮過ぎに注意しながら鍋に投入してみると骨が若干多いのが玉に瑕ですが白身はもちっとしつつも弾力性があって、(揚げ物は苦手ですが)次はから揚げにしよかっかな、と思える程度に冒険は成功したのですが。

いつものように話は横に素っ飛びます。

うちのあたりで手に入るオコゼは三島オコゼという名で売られていててっきり三島名産のものだと想像していて、次に三島へ行く機会があったら喰おうと考えていました。三島には狩野川という川があってそこで釣られたものだと思っていたのです。ところが「オコゼは海の魚」と彼氏からツッコミが入り、そして案外どこでも釣れる魚だとも。

だとするとなぜ三島なのか。

オコゼは決して見た目が万人が美しいと断言するのが難しい魚です。可能性としてノーエ節の「化粧に時間がかかる」的なマイナス表現の見た目を「三島」と表現しオコゼに適用したのでは?というのが有り得るのですが、持ってる三省堂例解古語辞典には三島の掲載はありませんでしたし、もちろん正解はわかりません。謎のままです。ただ、あんまりよい表現ではないスラングというか悪口じみたものほど案外生き残るものなのかもなんすが、オコゼの三島の謎はちょっとだけ興味深いと思っちまいました。