文学の話

怖くない賢治先生

匿名を奇貨としてバカにされそうなことを書きます。宮沢賢治の「注文の多い料理店」を読んだのは中学の頃だったはずなのですが、失敗した2人をあざ笑うよう物語にも思える「料理店」って何が言いたかったのか、というのはわかっていませんでした。もちろん今…

転移

「文学を殺したのはだあれ?私だわ、と大江健三郎はいった」という文章が、私の大学生時代にかかれてます。私はバイト先で写真のセクションにいたのですが隣が図書資料関係でそこにあるものは好き勝手読んでいいよ、という環境だったので、幸か不幸か私はあ…

宮沢賢治に関する個人的な覚書

注文の多い料理店というのを読んだのは私が紅顔の美少年だったころです(若干の誇張あり)。一見どってないことの文字・言葉の羅列の後ろにとんでもない意味と結末が控えてるあの物語は、文字を注意深く読まねばならないとああなるよ・書かれてることをその…

科博・石の世界と宮沢賢治展

上野の国立科学博物館へ。 【石の世界と宮沢賢治展】 現在、石の世界と宮沢賢治展というのをやっています。石が先に来るのはここが科学博物館であるからです。宮沢賢治というとどうしても文学者の印象が強いですが、10代の頃に熱中していたのは鉱物収集であ…

忠臣蔵の話

起きたことを「しょうがない」と考えてのみこむことができるか、というと人によっては違うかもしれません。怒りとか「ゆるす」ということでずっと考えてるのが忠臣蔵です。 物語としての忠臣蔵というのはおきたことを「しようがない」と受け入れられず、また…

行くぜ東北(ちょっとだけ)

花巻へ行ってました 東北はあまり知りません。大学時代に弘前大学へ用があって行った程度で、それも観光もほとんどしませんでした。勤務先では西へ行くことは多くても東北は管轄外なので未知の世界です。未知の世界でも花巻は宮澤賢治の居たところ、という程…

開高健記念館

午前中に用が神奈川県内であって、そのあと数駅乗って茅ヶ崎まで。 しばらく歩くとラチエン通というのがあります。サザンオールスターズに「ラチエン通のシスター」って曲がありますが、たぶんこの通りのことかなあ、と。で、この通りにあるのが 茅ヶ崎市立…

惜しいなあ、と思ったこと

私は文学部の出ではないので文学が何をするところかもわからないし文学がどういうものかもわからないので、へたなことは言えないんすけど、読めばなにが書いてあるかとか、大江さんが自分の文学の役割を見限ったうえでさらにレイトワークと自称しつつだぶん…

暗闇坂からぐるぐる

「文学を殺したのはだあれ?私だわ、と大江健三郎はいった」という文章が、私の大学生時代にかかれてます。大江健三郎さんがノーベル文学賞を受賞し、いったん断筆した直後です。書いたのは中島梓という、評論家です。別名、栗本薫ともいい、SF・ミステリ・B…

花散らしの風

東京は午後から雨です。花散らしの雨かも、って思ってたのですが、それほどでもなかったです。 花が散ることについて詠んだ歌ってのはけっこうあります。でもって、花が散るってことを詠むのはなんでなんだろ、と思ったことがあります。春になると花びらを掃…

追記のようなもの

物語を炎や光にたとえるのが、腑に落ちたのはなんとなく、落語を知ってるからかもしれません。死んだ父が落語が好きだったせいか(立川流の人を応援していた)その遺伝子がいくらかあって、大人になってから落語も面白いと思うようになりました。落語ってな…

苺のショートケーキ

私が求めているのは単なるわがままなの。完璧なわがまま。たとえば、今私があなたに向かって苺のショートケーキが食べたいって言うわね、するとあなたは何もかも放りだして走ってそれを買いに行くのよ。そしてはあはあ言いながら帰ってきて 「はい、苺のショ…

光差す

現在、小説はむずかしい時期を迎えてるとよく言われます。人は本を読まなくなった。特に小説を読まなくなったということが世間の通説になっています。しかし僕はそのようには思いません。考えてみれば我々は2000年以上に渡って世界のあらゆる場所で物語とい…

寂聴さんの話

小説ってのはなんだろう、ってことを文学部に行かなかった人間なのでたまに考えます。 すくなくとも小説を読んで引っかかることってけっこう多かったりします。井伏鱒二の黒い雨は社会人になって引っかかったのですが、高校生のとき意識してたのは開高健でし…

夏の終わりに読書感想文の検索でここにたどり着いてしまった皆様へ(一部補充)

ここんところ、読書感想の検索で来る人が多いです。ほんと読書感想ってので苦しんでる人が多いんだなあ、と思います。お疲れ様です。で、ものっそ基本的なこととして読むってどういうことなんすかね。 大学時代に刑法総論の授業をとってて私が一番難儀だった…