科博・石の世界と宮沢賢治展

上野の国立科学博物館へ。
【石の世界と宮沢賢治展】

現在、石の世界と宮沢賢治展というのをやっています。石が先に来るのはここが科学博物館であるからです。宮沢賢治というとどうしても文学者の印象が強いですが、10代の頃に熱中していたのは鉱物収集であり、進学先は盛岡高等農林学校(いまの岩手大農学部)で、そこでも鉱物収集や岩手県下の地質調査を行っていました。

いまでも岩手大学には賢治収集の標本が現存してて、科博が今回借り出して展示していました。鉱石の知識を生かしたのか東京で岩手県の石を販売しようとし(あめゆじゆとてちてけんじや、という永訣の朝に出てくる妹の入院に付き添って東京にいた)、また東京での宝石等製造販売を企画するのですが家族の反対で断念します。

石とのかかわりあいで重要と思われるのが石灰石です。花巻で農業相談にのってた宮沢賢治は炭酸石灰を酸性土壌の土壌改良資材として薦めます。薦めるだけでなく石灰供給元の砕石工場の依頼で技師となりつつ普及・販売促進のために岩手県内各地や宮城、秋田へ出張し、病に倒れます。

作品の中にでてくる石の特集もあります。わかりにくくて恐縮ですが、十力の金剛石という作品があり、天河石(下の真ん中でアマゾナイト)やトルコ石(下の左)などが展示されていました。オリピン(下の右)ってのはかんらん岩のことで、きぐるい機関車のなかに出てきます。虎目石(タイガーズアイ)やダンブリ石がなにに出て来たかはちょっとわからず。

銀河鉄道の夜にでてくる、地図の素材になってる黒曜石(こうかくと意味不明ですが)。

風の又三郎のなかの空にのぼってゆく描写の中に出てくる、島の形容に出てくる緑柱岩。正直に告白すると、どんなものかはわからずに風の又三郎を読んでいました。私は知らない単語が出てくるといらっとしますが不思議となぜかいらっとしませんでした。石が描写でつかわれててもどんなものかを知らなくてもなんとか状況を想像できてしまうのが文章の怖さというか宮沢賢治というひとの凄味というかもしくはおのれの適当さかもしれません。文章をちゃんと理解するってのはどういうことかとか、宮沢賢治を読むとたまに直面するんすが。

未読どころかはじめて知る石もあります。たとえば孔雀石。種馬検査日という詩のなかに「クジャクのいしの空の下」というのがある旨書いてあったのですが、正直目で見たものに引きずられちまったのか混乱して、どんな空か見当つかず。宮沢賢治の世界というものを大人になった今でも理解してるかといったら、理解できてないかもしれません。
フーコーの振り子
私が子供のころからあるフーコーの振り子です

長時間安定して動く振り子があったとして、本来は慣性の法則があるので同じ軌道をいったりきたりしてぜんぜんずれてないはずなのですが、コリオリの力が働いてるので少しずつぶれてゆくっていうかずれてゆくっていうか、振り子自体はずれないのですが地球が回転してるのでずれるようにどうしても見えてしまう、というやつです。この説明であってると思うのだがいまいち自信がないです。科博にいるとおのれの理解ってのに直面するんすがそれはともかく。
ずーっと意味わかんなかったのですが、10代のときに「あーそういうことかー」と理解できたときがあって、面白いとおもいつつ、理系には進まなかった子です。今日はあんまりゆっくりできなかったのですが、この振り子はいつもじーっと観察しちまうんすが。

石の世界と宮沢賢治展は6月15日まで一階の特別展示室で開催中です。