鴨葱鍋

関東ローカルの話で恐縮ですが・おそらくどこでも転がってる話かもしれぬものの、去年の第一波の頃、山梨産の桃の値段が安くなってることをNHKでやっていました。高級品を扱う百貨店が休業して供給過多になり値段が下がってしまった、という説明を聞けばそれなりに腑に落ち、そのとき桃に限らず品物やその品物の流通先によっては状況が変わらねばこの後も供給過剰が続き、簡単には高値には戻らないのかな、という予測を立てていました。

その予測が当たってもちっともうれしくはないのですが、この年末年始に鴨が供給過剰気味なのか(+夕方という時刻も影響したかもしれぬものの)手を出そうと思えば出せないわけではない値段になっていました。供給過剰は買う方からすれば朗報でしかし出荷側を想像するとちょっと申し訳ないのですが、この状況を奇貨としてあまり食べたことが無いのでちょっと冒険しようかな…という気になりました。

「鴨がネギしょってやってくる」ということわざにならって(予算の都合もあっていくらか多めに)ネギと水菜を買い、だしを取ったあとみりんと酒と醤油で鍋にしてます。鴨肉は煮すぎるとかたくなるからはやく喰え、といういくらかせっかちな鍋奉行を前にすると風情はいくらか減るのですが(ただし後で検索したら正論を云っていた)、鴨とネギの鍋はやってみて正解でした。鶏肉と異なる味もさることながらなによりも鴨肉が染み出た汁がコクが出て絶品で(〆のそばに絡ませても美味しかった)、なんだろ、蕎麦屋で鴨南蛮を食べたことはあるのでもちろん鴨肉童貞ではないものの、知らない方が幸せだったかもしれない味をこの正月でひとつ増やしちまってます。人を誹るは鴨の味ということばがあって鴨の味ってどなんだろうとずっと思っていたのですが、味覚的には理解できました。(箸は)止まらないし、(味は)語らずにはおれないです。しばらく忘れることができないかも。出荷側にとっては安値はキツイことだと思うので云いにくいのですが、機会があればもう一度食べてみたかったり。

三が日、なるべく外出しないように初詣も行きませんでしたが、喰うだけではなくて、買い物とそのついでの散策は別にかまわないだろうと判断して近所の大規模な公園を散策していました。

少しだけですがロウバイが咲きはじめています。現場からは以上です。