前にも書いたかもしれないのですが夕メシがひとりではないときに、すきやきを作ることがあります。京阪神のすきやきは牛脂をつかう・割下をつかわない・砂糖と醤油を肉にかける、という断片的な、また聞きの情報からはじめてます。何回か実戦で試行錯誤してるうちにコツはわかってきて、プレートをあたためて牛脂をプレートに馴染ませたあと、犠牲となる肉(と勝手に名付けてる先鋒の肉)を用意してその肉に適当に砂糖をかけ(最初はスプーンで軽量していたがいまは目分量)、さらに色が変わったら醤油をかけ(これもいまは目分量)、しばらくして犠牲の肉がいい塩梅になったらの残りの肉を入れ醤油と砂糖をそれぞれ入れ、そこにしいたけや(ネギだく派なのでいくらか多めに)ネギと湯でもどした麩を入れ、さらに日本酒を加えています。京阪神では正確にはどう作るのか知らないままいまにいたるのですがいまのところ失敗はなく、しかしなんだか繊細さとはほぼ無縁の豪快な男の料理になってしまってます。
京阪神式でやると具材から出る水分と砂糖と醤油と日本酒が絡み合いそれをネギや麩が吸い、なおかつ肉に絡んでとても食が進むのですけど、いちばん美味しいのは最初に放り込んだ犠牲肉(と勝手に呼んでいる肉)です。今回は質より量を重視ですきやき用肉ではない肉を買ってて、なおかつ肉奉行様に変身していた相手に任せてたので犠牲肉がどれだかわからなくなってしまってました。ただ途中でそれっぽい肉片をみつけて狙ってたのですがほぼ当時に肉奉行様もみつけていたらしく、箸をつけられた時点であ、やられた…と思いつつ「ま、いっか」と思ってたのですが、犠牲肉の半分を生卵につける前にこちらへ「ほれ」といって取り分けて寄越してきました。ありがとうと謝意を述べたのですが、おれもの欲しそうな顔をしてた?と訊いたらどうもそうだったようで。思ってることと違う表情を猫はできないといいますが、あらためて猫みたいでちょっと恥ずかしかったです。