思考を狂わせる鴨肉

勤労学生だったころそれほど自由になるお金を持っていなかったことをなんべんか書いています。あたたかい蕎麦を喰おうと思っても鴨南蛮はけっこう良い値段で、カレー南蛮は想像ついても鴨南蛮がどういうものかは想像つかず、財布の都合もあって未知の蕎麦になかなか手を出す勇気がなく、長いこと知らずにいて、社会人になって余裕ができてから食べています。それも小諸そばという駿河台とか木挽町とか八重洲とかあちこちにある立ち食い蕎麦チェーンのものを、です。立ち食い蕎麦レベルのものであっても普通の温かいそばよりも鴨肉が加わることでコクとうま味がますこと、そして(「鴨が葱しょって鴨葱」という言葉のとおりに)鴨と葱があうことを知りました。それまで見向きもしなかった・食べてこなかったことを後悔しています。以降、冬場に小諸そばに寄ることがあったら、最低でも年に1回は喰うようにしています。学生時代に比べて資金的余裕はありますから年1回だけではなくてもうちょっと食べてはいるのですが・小諸そば以外の店でも食べてはいるのですが、わたしにとって鴨南蛮は特別な食べ物であってほしくて、飽きてしまったら困るので飽きないように調節しています。なにをいってるのかわからないかもしれませんが。

はてな今週のお題が「いい肉」なのですが、個人的には至高の「いい肉」はほどほどの熱さの鴨南蛮の蕎麦の上にある火が通りすぎていない鴨肉であったりします。恥ずかしながら鴨肉に対して無知で見当がつかないので鴨南蛮を自作したことはありません。もっぱら外で食べてるだけです。

小諸そばではおそらくムリだと思うのですが、蕎麦屋によっては鴨ぬきという不思議なメニューがあります。鴨南蛮の蕎麦ぬきのことで、つまり鴨肉と葱がそばつゆに浮かんでいるものです。蕎麦屋は酒を出すことがあって鴨ぬきも酒のアテとして愛されてきたもので、でもまだ私には分不相応な気がしてならず、もうちょっと渋いおじさんになったらいつかチャレンジしようと考えてます。って、いい肉ってなんかこう、食べるほうを選ぶことってないっすかね。そう考えてしまうのはもしかしたら鴨肉のせいかもしれぬのですが。