「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」を読んで2

書いたつもりでいたのですが、ちゃんと書いていなかったので書きます。「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」は1月からほぼ11か月時折り書いているライトノベルズのシリーズの第一作です。冒頭、梓川咲太は藤沢の湘南台の図書館で野生のバニーガールに出会います。なにを云ってるかわからないと思うのですが、そのなんといっていいのかわからない状態が梓川咲太の認識そのものです。なので「なんだこりゃ」と、つぶやきます。でも野生のバニーガールに気が付いてるのは咲太だけです。咲太が気付いたことに気が付いた野生のバニーガールである桜島麻衣は忘れなさいと諭しますが、認識してしまった野生のバニーガールの桜島先輩の存在を忘れることはできません。

いくらかネタバレになるのですが、咲太の友人である双葉里央は

人間は見たいようにしか世の中をみていない

と示唆をします。と同時に観測することによって結果が変わることも述べます。これらの示唆や助言や咲太の行動が野生のバニーガールである桜島先輩を結果的に救うことの手がかりになります。詳細は原作かマンガにもなっていてお読みいただくとして・アニメをご覧いただくとして、量子力学もちょっと関係しますが高校生レベルでわかりやすく解説されています。話をもとに戻すと咲太が桜島先輩を認識してしまったところから物語が・青ブタシリーズのすべてがはじまります。

そんな奇特な人が居るとは思えないのですが、もしこのダイアリに影響されて青ブタを観てみようかなんてひとがいたら、昨日発売された青ブタの映画版Blu-rayをご覧になる前に本書を一読されるとより映画が理解しやすいと思います(実は映画にも関係してくる)。

青ブタを読んでいて・特に「バニーガール先輩」を読んでいて、単なるラブコメというかSFではくくれないな、と思わされたのが、その場に漂う空気に関しての記述というか描写です。読まなければいけない空気とかのほか、他人と異ならないことが重要で、空気を読む人間はえてして当事者ではないので当然真偽は関係ないだけに空気を読んで事実とは別のその場を支配する空気を受け入れてしまう怖さであるとか、見事なまでに浮き上がらせていました。この「空気を読む」ということはいまの高校生に限らずかつてガラスの10代だったいまの40代にも共通することで、もしかして根が深いのではないかとか、この国の宿痾みたいなものなのかとか考えちまってます。

さて、とてもくだらないことをひとつだけ。桜島先輩はバニーガールの衣装を藤沢駅のJR側のコインロッカーに入れていました。バニーガールの衣装を自宅において自宅で着替えて出掛けるのなら理解できるのですが、え?なんで藤沢駅に?桜島先輩どこで着替えるつもりなの?とすっごくくだらない疑問を持ってます。でも、誰からも認識されない状況であるのなら別に何の問題は発生しない、かな、とは思いつつちょっとだけ気になりました。