青ブタ展見学

本を読むときはその読む本が映像になってることなどまずないので本に書かれている描写を想像しながら読みすすめることが多いのですがここ何年か青春ブタ野郎シリーズというラノベを追っかけていて、そのラノベの場合はアニメを先に視てしまったので原作の本を読むときには先行して視聴した映像を思い浮かべながら読んでいました。ここで「描写を想像して読むこと」と「第三者が作った映像を頭に入れて読むこと」とどっちか良い悪いということを述べるつもりはないのですが、青ブタで後者を体験して悪くはないかも…などと思うようになっています。「空気を読む」ことや「孤独は怖くないけどひとりぼっちを笑われるのがイヤ」という物語に伏流水のように流れる主題がわたしに微妙に刺さったというのもあって銀座松屋青春ブタ野郎シリーズの展覧会があると知り(検査と診察のあとヘロヘロであったものの)万障繰り合わせの上、見学しています。

会場内には物語の中で出て来たシーンをアニメの設定に沿って再現してあります。詳細は原作もしくはアニメをご覧いただきたいのですが

物語の中で主人公咲太の妹であるかえでちゃんは日記を書き続け、引きこもりから脱しようと決意します(『おするばん妹』)。人は考えて書いたものに引き摺られるのではないか?書くという行為は人を人たらしめるのではないか?という仮説をフィクションとはいえ青ブタを知って以降持っているのですが、それはともかく、その決意のノートが復元というか展示されていました。そしてなぜそんなことになったのかはやはり原作もしくはアニメをご覧いただきたいのですが

かえでちゃんが消えたあとにかえでちゃんの書いた日記を翔子さんが風呂場のドアの外で入浴中の咲太に聞こえるように朗読するシーンが再現されていました。それを書いた人は消えても書いたものの中にその人は残る、という書けば当たり前のことをフィクションに載せて巧く表現しているのですけど展覧会にあたって限られたスペースの中で風呂場のシーンを再現したのはGJ!であったり。

物語の中では咲太の友人である双葉理央が居る物理実験室がよく出てきてて

その物理実験室も再現されています。

砂糖は二酸化マンガンの瓶の中に入れてあるのがお約束でしっかり二酸化マンガンの瓶が置いてあって、思わずふふふ…となっています。他にも

桜島先輩が住むマンションの郵便受に入れた咲太の手紙、とかマニアックな再現があったのですが、桜島先輩が藤沢市のどの地域の何階に住んでいるのか今回の展示ではじめて知りました。作品理解の解像度がいくらかあがったのですがそんなものあげてどうするの?というのは横に置いておくとして。

いちばん興味深かったのはアニメの台本の展示で、いちばん上に数字が振ってあり→次いで画面の動きなどの説明→下部にセリフ等で、台本でもアニメは歌舞伎などとはちょっと違うのだなあ、と。

展示そのものは作品を知らなくてもなんとかわかるようになっていますが、知っていたほうがより時間泥棒になります。

以下、くだらないことを。グッズ販売のコーナーがあって、事前に(作中ではコーヒーをビーカーで飲むので)物理実験室のビーカーが売られていることはリサーチ済みでした。(もちろんそれでコーヒーを飲むほかに計量カップの代わりにしようとしていて)それを狙っていたのですが、残念ながら平日でも昼の段階でその日の分は売り切れでした。ここをどういう人が眺めてるのかわからないものの念のため書いておくと、物販狙いの場合は早いほうが良いかと思われます。なお松屋は24日まで。