納豆について

あまり褒められた話ではないのですが苦手な食べ物があります。筆頭は卵で、生卵はもちろん温泉卵などが苦手です。東京にはたいめいけんという洋食屋があり、チキンライスの上にほどよいオムレツが載りそのオムレツをひらくとチキンライスの上に半熟のオムレツがするすると広がるタンポポオムライスという名物料理があるのですが、たいめいけんはずっと利用してますがその状態の卵が苦手なので一度も頼んだことがありません。冥途の土産に一度は…とは思うもののまだ死ぬつもりはなかったりします…ってそんな話はどうでもよくて。

生卵や温泉卵やタンポポオムライスといった舌の上でぬめっとする触感が得意ではないので納豆もどちらかというと避けてきました。避けてきましたが避けられないときもあって、山梨で特産の人参の細巻きのほか納豆の細巻き寿司を出されたことがあるのですが、苦手とも云えず出されたものを残すのは男が廃るので平気なふりをして頑張って食べています。喰えないことはないですが積極的に買うことはせずに生きてきました。ただ四捨五入すると五十で嫌いな食べ物が複数あることについて「いい歳してさすがに…」というのはあって、生卵や半熟卵やタンポポオムライスは冥途の土産に残しておきたいので納豆は折を見て克服の工夫はしようとしていたのですが。

ここではてな今週のお題「納豆」を引っ張ります。

泊まったホテルの朝食会場でだし茶漬けの用意があり、そのそばに小さい納豆のカップが置いてありました。「納豆を苦手とする私が知らないだけで世の中ではだし茶漬けの中に納豆を入れることがあるのかもしれぬ」と(都合よく)解釈し、刻みしば漬けも入れて納豆のだし茶漬けに挑戦し、これならイケる!となっています。もちろんだし茶漬けの力を利用しているので大手を振って「苦手を克服した!」とは云えませんが・云いませんが、以前よりは納豆への抵抗が若干減っています。「納豆を喰え、そうでなければ射殺する」という場面に遭遇しても切り抜けられる可能性も出てきました(そんな場面まず来ないと思いますが)。

池波正太郎の『剣客商売』の「女武芸者」の中に納豆汁が出てきてその納豆汁をアテに酒を呑むシーンがあります。おそらくいまはほぼないの江戸の甘味噌の味噌汁のはずで再現するのは難しいはずですが、酒のアテにするかどうかは別としてもう少し涼しくなったら赤だしのねぎの味噌汁でやってみようかな、くらいのことは考えるようになっています。ところでここのところはてなの編集画面では「納豆には何を入れますか?」というのがずっと表示されていて、でも「何に納豆を入れるか」の話をしてしてしまっています。なんだか問題文を読んでいない頭の悪い子に思われそうなのでこのへんで。