浅草梅園の粟ぜんざいのこと

カタカナがあまり得意ではない上に頭が良くないのでジェンダーとか小難しい言葉は遣いませんが、世の中に「男は男らしく」みたいな変な空気というかイヤな空気があってその男らしい男ってなんだよ想像の産物じゃねえの?とつくづく思うのですが、イヤな空気の最たるものが「男が甘いものを喰うなんて」というやつです。いつだったか神田のある甘味店に男性がいるのを意外と書いてる人がはてなにいてアタマにきて「そこは池波正太郎が通ったところ!」とレスを付けようかと思ったのですが、鬼平犯科帳を誰もが読んでるとは限らず、池波正太郎?だれ?それ?となったら目も当てられないな…と気がついてそのままにしちまってます。なんとなくそれ以降、めんどくさくなりそうな空気を察して表向きは甘味にさして興味は無いような素振りをして、ちゃんと甘いものも摂取しながら生きています。

浅草の雷門から仲見世に入り、左手に公会堂が見えるあたりでちょっと左手に(西に)入ったところに浅草の梅園という店があります。晩秋から春にかけて寒い時期限定で粟ぜんざいというのが店に並ぶようになります。粟ぜんざいと云っても粟をつかっていないし一般的な汁粉でもなく、キビ餅の上になめらかなこし餡が載っているあたたかい甘味です。キビ餅の触感はぷちもちでこし餡は上品で、もちろん店内でも食べることができますがテイクアウトも可能です。テイクアウト可能なのを奇貨としてわりと手土産として持ってゆくのですが、電子レンジで加熱したてのをふうふう云いながら喰うのが好きです(いい歳したおっさんが2人が揃って冷ましながら食べてるところをご想像ください)。甘味処は浅草だけではなくて日本橋タカシマヤの中にも入っています。もちろん梅園の店員さんは男が粟ぜんざいを買いに来ても変な顔をしません。そもそも東京の甘味処は女性だけのものではありませんし。

美味しいというのは慣れた味と刷り込みからくるのではないかと思っていますが、粟ぜんざいはそうそうしょっちゅうは食べれたわけではないものの小さいころから冬になると食べていたせいもあって、私は粟ぜんざいが美味しいと感じています。冬に食べることができないと禁断症状が出てきます…ってそれはさすがにウソですが、寒い時期を乗り越えるために楽しみとして無いと困るものではあったりします。