浦里

数日前に鬼平犯科帳に出てくる食べ物のことを書いたのですが、食べ物の話をちょっと引っ張ります。

おそらく池波正太郎先生が生きてらした頃には当たり前だったものの、いまとなってはよくわからないものがあったりします。たとえば桜めしです。桜でんぶのごはんかな、と一瞬想像したのですが、酒を呑んだ後に食べてるので甘いご飯は考えにくいです。本筋とはあまり関係ないので深くは考えずスルーしていたものの、しばらくして『鬼平犯科帳鬼平料理帳』(佐藤隆介編・文春文庫)という料理に関しての本を見つけ、その本には蛸の入った炊き込みご飯を桜めしといっていたことが述べられていました。しかし蛸と桜の関連性の詳細は不明なようで。

でもってその本に載っていたのが浦里です。もともとは吉原の遊女の人たちがこれはと思った客に朝に作って出していたという艶っぽいいわれのあるもので、種を抜いた梅干しをたたき、水気を切った大根おろしを載せ、醤油を垂らしてもみ海苔を載せるというものです。鬼平ではない別の作品中では大根おろしと叩き梅干は混ぜてそれにカツオ節と海苔を散らし醤油を垂らす、ともあるのですが、梅干しの酸味と大根おろしの辛みはあうのではないか、と思って試して以降、どちらもなんども作っています。炊き立てのご飯にもお粥にもあいますし焼き魚に添えてもいいし、やはり酒のアテにもなります。ひとりでないメシのときでも作ります。浦里は値段も高くないどこにでもありそうな材料で満足度が高いものができる点がすごいです。そして柿のみりんがけ同様に江戸時代の人の智恵に脱帽しちまうのですが。