今朝の日曜美術館を視て

今朝やっていた日曜美術館の「疫病をこえて 人は何を描いてきたか」がとても面白かったです。で、終わらせてもいいのですが、もったいないので続けます。

(きたない話で恐縮ですが)鼻血で汚してしまったタオルをお湯で下洗いつつ観ていたので作品の詳細な名前を覚えていないのですが、日本の美術を振り返る部分では絵巻物が取り上げられていました。目に見えない疫病を可視化して鬼のようなものとして見立て・描いて、その鬼も対話が可能で仏事に参加してるものには危害を与えない場面を描くことで救いがないわけではないことを示しつつ、(絵巻物はえてして物語ベースなのですが)疫病を物語に載せることで終わりがあるという希望を見せる描き方であることを紹介していました。

西洋の部分では悪魔が跋扈する絵が描かれ、またエストニアの聖堂にある死の舞踏という絵に触れてその絵は趣旨としては死者の声に耳をかたむけそれを生きる知恵に反映させるべきでは?という内容の絵が印象に残りました。ほかにも民衆を煽りつつデマを飛ばす悪魔に唆された預言者や敵とみなしたものを処刑する場面の絵画などがあったのですが、疫病というものが人を正常な判断から迷わせる、というのがよくわかりました。

シロウト丸出しの印象ですが、日本の場合は疫病は人はどうすることもできないけど神仏にすがれば希望がないわけではなかった、西洋は疫病に対して夢も希望もないけど模索する人々がいた、というようにとらえました。このとらえ方が正解かどうかはわかりません。番組では「疫病と向き合う」だったのですけど、対比がちょっと興味深かったです。

最後に江戸の疱瘡絵(疱瘡除けの錦絵)の歴史を踏まえながら現代日本のアマビエが取り上げられててヤマザキマリさんなどの作品が取り上げられてたのですが、なんだか眺めてるうちに不思議とほおが緩むというか、絵で人間の心が明るい方向へ動くものなんだなあ、と思わされました。芸術に疎いものの、良いものを視聴できた気が。