ある連載マンガの終了についての雑感

いつものようにくだらないことを書きます。

どこまでが史実でどこまでがフィクションかわからないいわゆる忠臣蔵の物語のなかに増上寺が出てくる部分があります。勅使の接待役を申し付けられた赤穂藩は指南役の吉良上野介に接待場所である増上寺の自らの担当範囲について畳替えが必要かどうかについて尋ね、吉良側は不必要と答えるものの、増上寺では他の藩の範囲はすべて取り換えてありそれを目撃した赤穂藩はあわてて職人を呼んで「給金ははずむから」といって畳替えを行ったというエピソードです。この話においてなぜ吉良上野介は不必要といったのかはもちろん謎で、ただご存じのように後日、赤穂藩浅野内匠頭は松の廊下で吉良上野介に斬りかかります。その浅野内匠頭の所業はたしか史実としての記録は乱心ということになっているはずです。

話はいつものように横にすっ飛びます。

毎日新聞には西原理恵子さんが長いこと週一程度でマンガの連載を持っていて、2017年1月の朝刊で西原さんの故郷の土佐の話として、それまではどんなことがあっても耐えていたけどある任意の一言で刺してしまった女性の話をマンガにしていました。もちろん事実なのかフィクションなのかはわかりません。ただその回で西原さんはある任意のひとことをきっかけに「100ポイント目キャッシュバックキャンペーンがはじまる」(≒つまり任意のひとことで堪忍袋の緒が切れて怒りが相手に振り向けられる)ことがある、という

「女の怒りはポイントカード制」

という仮説を唱えていました。

さらに話が横にズレて恐縮ですが、私は性別上は男ですが怒りのポイントカード制という西原仮説が妙に腑に落ちていて、というのは身に覚えがないわけではなく、衝突を回避するために理性で封印していたものがふとした相手の一言をきっかけに100ポイント目となり堪忍袋の緒が切れてあふれだし周囲に必死に止められながら「なにをたわけたことを」的なことを口にしてたことが過去にないわけではありません。付随して「傍からみると沸点がわからない」というふうにいわれたことはいっちょ前にあったりします。ポイントカード制は女性だけではないのでは?感が強いです。

話を元に戻すと、浅野内匠頭増上寺あたりからポイントを貯めはじめていて、松の廊下で「100ポイント目キャッシュバックキャンペーンがはじま」ってしまったのかなあ、と考えると(それが傍からみると乱心だとしても)浅野内匠頭が身近に思え、そしてなんだか腑に落ちるようになっています。西原仮説を読んで以降、対峙せざるを得ないいけすかないやつを前にして、どういうふうにやり過ごすのが良いのか?とか答えのないことを考えるようになっています。

相変わらずその答えはないものの、西原さんの連載を読んで私もポイントカード制であることを改めて自覚して「なるべく怒りのポイントカードを貯めないようにしよう」などと考えるようにはなっています。もちろん生きてく上である程度の摩擦は仕方ありませんが、破滅的なキャッシュバックキャンペーンはいまのところ回避できていますし、webではこちらのポイントカードが溜まりそうな人には近づかないようになりました…って私のことはどうでもよくて。

怒りのポイントカード制をはじめ腑に落ちることが描かれていたことがあったその西原さんの毎日新聞の連載が今日の朝刊で終了になることを知りました。ここしばらくは西原さんの出身地の土佐のことのほか、ダイエットのために通うジムのコーチと決して優等生ではあろうとしない西原さんの攻防戦が描かれてることが多く、後者は優等生であろうとしない西原さんのダイエットは成功したとは言い難い状況で、でも「人間ってどうしようもないよね」という諦観のようなものをベースにしているせいか成功してなくてもダイエットに興味が無くてもなんとなく西原さんの主張が理解でき、連載があればついつい読んでいました。もうちょっと読んでいたいものの、最終回では途中から仕事がイヤになっていたことをにおわせる表現も有ったのでそれじゃ仕方ないかなあ…感が強いです。いままで作品が読めたことに感謝しかなかったり。

とはいうものの、マンガに影響受けてどうする…とか、お前マンガごときになんでアツく語ってるんだよ…と呆れられそうなのでそろそろこのへんで。