写楽という人の氏素性がわからない、ってことを前にも書いたんすけど、生年月日もわかりませんし、いつ死んだのかも判りません。ただ、作品だけ残っています。写楽自身が積極的に自分の痕跡を残さないようにしてたのかもしれませんが。
で、東京の下町のほうだと否定的ニュアンスの語彙で(巧く説明できないんすけど)いくらか癇に障るくらいのはなにつくことというか小生意気だと思うことを「しゃらくせぇ」なんて云いかたをします。語源がよくわからないこの言葉を写楽が自分の筆号としてわざと使ったとしたら、これまたひどく面白い性格の人なんじゃないかと思うし、逆に「しゃらくせぇ」の語源が写楽本人の評価とかに由来のものだとすると、作品だけが残ってることを斟酌すると、ナントカと天才は紙一重じゃないっすけど嫌われ者だったんだろか、なんてことをアイスコーヒーのみながら、考えてました。
謎が謎を呼ぶっていうか、謎が多いってのは時間を忘れて没頭させる魔力があります。
「まて、これは孔明の罠だ」なんて言葉もありますが、わざと痕跡を残さなかったのなら、後世の人間が写楽について想像をめぐらせてる時点で、ひょっとして写楽自身は「してやったり」と思ってると思いますが。