「その着せ替え人形は恋をする」9話を視聴して(もしくは「これを着たい」と思わせる服の持つ魔力について)

コスプレに限らず服というのは視覚に訴えて他のものではない「これがいい」「これを着たい」と思わせる魔力を時として持つことがあるはずで、「これがいい」「これを着たい」という魔力は人に不思議な錯覚を持たせます。前にも書いたかもしれませんが、たとえば服は着ている人の個性を消すことがあります。それゆえにモデルの顔を忘れても服は人々に記憶されて服が売れますし、着ている人の個性が消えるからこそ好きなキャラの格好をしているコスプレが成り立ちます。そして「これがいい」「これを着たい」と思うゆえ想像つかぬ行動を起こすこともありえるはずで…ってどうでもよい能書きはこれくらいにして。

いくばくかのネタバレをお許しいただきたいのですが、コスプレをしたい喜多川さんと裁縫が出来る五条くんを中心に話が展開する「その着せ替え人形は恋をする」の最新話9話ではこれを着たいと思ったキャラのコスプレに使う水着について意見を求めるため五条くんの前で喜多川さんは躊躇なくスカートを捲りあげ見せるシーンが冒頭にあります。ずっと視聴してるこちらは(アクエリアスゼロを吹き出しそうになりながらも)「喜多川さんガチで服のことしか考えてないな…」とその行動が腑に落ちるものの、事情を知らぬ第三者が偶然そのシーンを見ると喜多川さんが五条くんの前でスカートを捲りあげる変な人になってしまい、それを視聴し言及しようとしてるこちらも変な人になってしまうので「その着せ替え人形は恋をする」は録画して視聴してることを事情を知らない人には口外しにくいです。しかし口外しにくいものの最新話について何も書かずに過ごすのは惜しいので、書きます。なお、喜多川さんは水着に続けてブラも五条くんに見せようとし、それが(おそらく喜多川さんの中で「これがいい」というレベルではないのか)見せても良いブラではないことに気が付き、すこしだけ正気に戻ります。詳細は原作かアニメをご覧いただきたいです。

もういくばくかのネタバレをお許しください。五条くんにコスプレ衣裳制作を依頼した乾さんの(どちらかというとシスコン気味の)妹さんの心寿ちゃんが9話の主役です。コスプレをしたいとは思っていてしかし姉の前では言い出せず、それに気が付いた五条くんが妹さんの手助けをする方向になったものの、妹さんのなりたい希望のキャラは男子高校生で、着たいのは制服です。どうしたか?の詳細は是非原作かアニメをご覧いただきたいのですが、男ものの衣服を着てるだけでは当然男装にはならぬわけで・人は着ている服で男女を判別するとは限らないわけで、克服せねばならぬ点は肩幅等いくつもあって(私は異性装をするわけではなくさらに異性装をする知り合いを知らぬ上に無知だったせいもありますが)、異性の服を着ることの大変さを五条くんと心寿ちゃんの試行錯誤を通して今回はじめて知りました。知らぬ世界ゆえに興味深かったです。ただ胸に関する描写がややコミカルに描かれてる気がしないでもなく、もうちょっと控えめな方が良かったのでは、という気が。

さて、心寿ちゃんは乾さんや喜多川さんの前に五条くんの制作した衣裳の着て男子高校生として登場します。5話で喜多川さんがしずくたんの衣裳を着てしずくたんに成り切ったときと同じように心寿ちゃんは自分を消してなりたいキャラになり、振舞いも表情も男子高校生のそれです。画面を眺めながら、フィクションとはいえ服の魔力ってスゲーなと思うと同時に、五条くんと心寿ちゃんの試行錯誤が印象に残ってたので「人が男っぽい女っぽいと判断する決め手はなんなのだろう?」などと考えていました。

でもなんですが。

途中からふとした拍子に女子中学生の表情の心寿ちゃんが出てきてしまい、喜多川さんはそれを「メス顔!」と叫び喜び「そのギャップが良い!」と評価します。その喜多川さんの評価を聞いたら「人が男っぽい女っぽいと判断する決め手はなんなのだろう?」という疑問がバカらしく思えてきました。そんなものないからコスプレが成立するわけで。

くだらぬ話をちょっとだけ。一学年上の乾さんと五条くんが衣裳についていくらか突っ込んだ話をしてるのをそばに居た喜多川さんはカッコイイと感じ、「私もわかってる風なこといいたい」と実行してしまいます。どうなったかは原作かアニメをご覧いただきたいのですが、実行するかどうかは別として性別は違えどなんだかひどくよくわかるシーンで、同じだぞアピールというかそういう欲求起きることってないっすかね。もしかしたら私の精神年齢が高校生並みに過ぎず、大人はそんな欲求は起きないものかもしれないのですが。

9話も最後まで飽きることなく視聴しました。残りの話数をが少なくなってきたのがちょっとさびしいと感じる程度に飼い慣らされてきました。たぶん最後話まで視聴してしまうはずです。