すき焼き麩・くるま麩

東京のすき焼きは割り下をつかう、どちらかというと煮るスタイルのものです。長いことすき焼きといえばそれでしたが、ここ数年、京阪神式の割り下をつかなわい・牛脂を最初に敷く、まず犠牲となる肉(と勝手に名付けてる先鋒の肉)を一枚か二枚か用意して砂糖と醤油をかけ、犠牲肉がいい塩梅になったら追加で具材をどんどん足してゆくすき焼きをやるようになりました。いますらすら書いていますが最初は一緒に食う相手の「テレビでやっていた」というおぼろげな証言が出発点で、もちろんそのテレビを私は見ていません。

戸惑ったのが麩です。視聴した番組では麩を入れていたらしいのですが、私も死んだ両親もすき焼きに麩を入れる習慣が無かったので、ほんとかよ?と思っていました。高島屋だったか大丸だったか肉を調達したついでに乾物を扱う売り場へ行き訊くは一時の恥なのですき焼きに入れる麩ってありますか?と訊いて、教えてもらったのが京都の半兵衛麩というところのすき焼き麩でした。訊いたのが関西発祥の百貨店だからよかったのかもしれません。

話をもとに戻すと水でもどしたすき焼き麩をすき焼きに入れるようになっていて、犠牲肉のあとにネギなどと一緒に加えてます。最初の犠牲肉も美味しいので(奪い合いになりがちなので)すが、味が染み込んだすき焼き麩も(残り少なくなれば奪い合いになりがちなほど)イケます。肉はすき焼き用の肉ではなくて多少ランクが落ちる切り落としでもいいのですけど、麩だけはランクを落とさず半兵衛麩のものを買っています。昨日使い切ったのでそのうち調達するつもりです。

以下、十日の菊的なくだらないことを。

先月旅行で行った富山はくるま麩がありました。あとで知ったことですがどうやらくるま麩をおでんに突っ込むっぽいのですが、麩が汁の旨いところを吸い込むのを知ってるがゆえに、(昆布で有名ですからおそらく昆布の出汁の旨味を吸い込んだくるま麩のおでんを)富山で喰わなかったのがかさねがさね残念だったり。

麩に限らぬかもしれないのですがものを知ってしまうとあとで後悔することって増えませんかね。そんなことないかな