本気

六本木にサントリー美術館というのがあります。現在、ガラス系の酒器の展覧会をやっていて観てきました。
酒というのはお酒が美味しければいいじゃないか、と無粋な東男は思っちまうのでそれほど凝った酒器など一切持ってないのですが、酒器はこだわろうとするとどんどん奥が深くなることがなんとなく理解できました。たとえばロンドンの風景や天使の絵がガラスに刻み込まれている足つきの杯があって、なにも入ってないとつまらないのですがそこにたとえばシェリーを注いだら(同行者は赤ワインが面白いんじゃないかといっていた)、色のついた液体の中に白いロンドンや白い天使が浮かびます。相手をもてなす、もしくはおのれが愉しむ、というのをどこまでつきつめるかですが、どれだけ遊びに本気になってたか、というのが垣間見えてきます。
薩摩切子という薩摩藩時代のガラス工芸のコレクションがあるだろうと考えてそれも目当てで行ったのですが、薩摩切子以外の江戸期の硝子製品なんてのもありました。目をひいたのは植物の朝顔の花に枝が伸びてる小さいガラス杯があり、やはり清酒を入れてたのではないかと思いますが、つかいにくかろうし呑みにくいったらありゃしねえんじゃねえの、とおもうのですが、夏の暑い日にガラス製品を使って涼を感じようとしてたのかとか、「こんぴらふねふね」みたいな座敷遊びでの余興につかったかもとか、いろいろ想像力をかきたれられたんすが、どちらにせよ酒のみというのは古今東西、やはり遊びに本気になる種族なのかもしれません。
酒に関係する会社だけあってけっこう興味深かったです。会期は11月10日まで。