市川團十郎家(成田屋)代々のもちネタというかお家芸ってのに「にらみ」ってのがあります。魔よけの所作で江戸時代には「にらみ」を見るとその年は風邪をひかないという俗信がありました。最近、市川海老蔵丈がインフルエンザ撃退のために大阪松竹座で「にらみ」をやってみせてそれがニュースになったりしたのですけど、顔の表情っていうのはけっこうそれだけで立派な芸になるとおもいます。つか、にらみはたぶん立派な芸です。一度見たら忘れないですし。真似ようと思って鏡の前で、実際に両方の黒目を一度中央に寄せて片目だけ外にずらす「にらみ」にチャレンジしたことが何度かありますがそうそう簡単に真似のできる芸ではなかったりします。
東国原知事をみていてすごいな、とおもえるのは(どうでもいいことですが)表情で人をひきつけるテクニックです。元芸人ですから当たり前なんでしょうがたぶん自在に状況を見て喜怒哀楽の表情をすぐ変えます。一番印象的なのはニュース映像でみたのですが九州でのなにかの講演で、これから何を語るんだろうって聴衆が固唾を呑んで見守ってるときに、まず集まった聴衆を前に目を見開いてこんなにあつまってるのか、と、驚いてる表情をみせたことです。一番最初のリアクションがそうだと誰もが逆にその表情に驚いて耳を傾けます。そっからライフワークである地方財政・地方行政の話へもってくわけっす。「相手の気を引く・空気をつかむ」のがうまいな、と思いました。
社会に出て一番苦労したのは「聞く耳を持ってもらう」ことで、最初の何分かがすごく重要なんじゃないかってずっと思ってたので、東国原知事の映像をみてちょっと衝撃的でした。あー、その手があったのか、なんて思ったので。正直、表情で相手の注目を集める「東国原メソッド」ってちょっとすごい、って思ってます。ただ、これもそのまんまそう簡単には真似できない芸というかテクニックなんですが。