喪失の予感

小学生のころからこの駅のこの建物は見慣れていました。

しかしここ数年の間に左右に高層ビルが建ち、駅の中に入っていた百貨店も移転してもう暫らくしたら解体されます。壊れた時計を修理に出した時計売り場も、何を手に持っていこうかとこれから訪ねる相手の喜びそうなものを見繕うために悩みながらいやというほど歩いた、どこに何が有るか手に取るように判る地下の食料品売り場も、もう入ることができません。それがけっこう寂しい。死んだ父がシロキヤといっていた百貨店も閉鎖解体したときには、ああ無くなってしまったなー、と、ひどく喪失感を持ったのですが、ここは幸福感と直結した、より思い出のある建物でもあるので、ほんとに跡形もなくなったらえらい喪失感を持ってしまうだろうな、と思います。


確かにそこにあった、ってことだけは忘れないと思うけど。