いいところの坊ちゃんではなかったので、私は高校卒業後、バイトしながら大学へ通ってました。高校の卒業式の数日後に学ランきてバイト先の面接に行った記憶があります。最初にした応募したのは新宿三越です。通う大学と住んでた街の中間地点に新宿があって、求人広告を見て応募した記憶があります。でもってなかなか返答が来なくて(高校をでたばかりの初心者を雇うのは躊躇したはず)、別のバイト先として新聞社に応募してそちらが決まったあとに三越から連絡が来たので、丁重に謝って三越のほうを辞退しました。
私は歌舞伎町も新宿二丁目もよく知らないのですが、新宿三越で働いてたらちょっと違った人生を歩んでたかな、って思うことがあったりします。

そのころの新宿三越はちゃんとしたデパートで、写真のビルは私が高校を卒業したてのころは新宿三越新館といってて、いちばん上には美術館がありました(池袋西武がそうだったのですが前は百貨店になぜか美術館があったのです)。ちゃんとしたデパートと書いたのはわけがあって、高級感があったのですがうまくいかなくなって閉鎖して、ビル全体を家具屋さんのショールームにしてます。建物を立派にしてよいものを置いてもそこで買い物をするかっていったらそうではない、ってのを図らずも証明しちまった建物です。家具屋さんが撤退してないところを見るといまはうまくいってるのかもですが。

こちらは本館です。新館より持ちこたえてて10年くらい前まではデパートとしてまともに営業してた記憶があります。が、いまはアルコットというテナントビルになっててティファニーや3フロアつかってるジュンク堂が入ってます。
ジュンク堂はこれでもかってなくらいに広い売り場で最初入ったときにびっくりした記憶があります。いつも本を探しに入ってみつかったらすぐ出てきちまうのであんまり長居をしたことないのですが、歴史のところなどちら見したかぎりはけっこう興味深いラインナップで、時間とお金に余裕があれば何時間でも探検したい場所なんすけども、なかなかその機会がありません。


でもってアルコットもそろそろ閉鎖して、ビックカメラになる予定です。たぶんそのほうが儲かるのかもしれません。高校卒業あたりから新宿三越の変化をみてて、商売って難しいなあと思わされます。一等地なんすけど、一等地だからこそ商売ってむずかしいのかもっすが。ただ、カメラ屋さんといい家具屋さんといい、そんなに遠くない東急ハンズといい、実は専門化すればするほど、得意分野をきわめればきわめるほど、生き残れるのかもっすけども。