これからくだらない話を書きます。
これを書いているやつは名古屋に一時期住んでいました。勤務先は自動車会社とは全く関係なかったのですが、三河の自動車会社と取引をしている会社を見学したことがあります。そこで知ったのは三河の自動車会社の徹底的な業務の効率化への執念と、それに現地現物の概念です。ガチな場合、業務の効率化に精通した自動車会社のスタッフが現地へ赴き、ストップウオッチを片手に一つの行為が何秒かかるか?から計測し、場合によっては設備を動かし、秒単位で無駄な動きを省くことを提案します。簡単に書けば効率化は机上の空論ではなく現地へゆき現物を眺めて実行することであることを知りました。このテの話、聞いてて飽きなかったのですが、笑える話ではありません。
さて『ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います』というアニメの1話を録画して視聴していました。幾ばくかのネタバレになるのですが物語は表題の通りで、1話では主人公のアリナ・クローバーが残業がイヤなので魔物のようなものをソロ討伐しに行く話です。
主人公のアリナは冒険者に対応する受付嬢で有能で、しかし日々事務作業が堆積し残業に追われています。定時に帰るのは夢のまた夢で、抱えてる事務作業が片付かないのは魔物が居るからで、それを攻略すれば業務の効率化が図れると考え、現地へ行き現物と対峙し、実行に移します。
そのアリナの思考というか動機とそして行動には、三河の自動車会社のスタッフが取引先の現地へ赴き現物と対峙して提案し実行に移す点で似通っていて、なにひとつおかしなところがありません。ありませんが、視聴しているこちらは息ができないほど笑いころげていました。アリナの目的もなにもかもよくわかるのですが効率化しか考えないことがコメディに近いことを巧くフィクションに載せてあって目からウロコが落ちると同時に、脇目もふらず効率化しか考えないアリナの姿勢が喜劇的でよくできていたからです。詳細は本作をご覧いただくか原作をお読みいただくとして。
後半部分ではその魔物を討伐するアリナを目撃したパーティのリーダーが自陣営に引き込もうと画策するのが主で、それがどうなったかはやはり本作をご覧いただくか原作をお読みいただくとして、行きがかり上、アリナは事務作業をしないで済むそもそも残業がないパーティのリーダーに
あんたにわかる?終わらない書類の山を見たときの絶望が!
明かに仕事が追い付いていないときに別の仕事を押し付けられたときの殺意が!
『ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います』
と訴えます。経験がないわけではないので絶望も殺意もひどくよくわかるのですが、ここでも息ができないほどに腹を抱えていました。定時を守るということ自体は喜劇ではないにもかかわらず、定時に帰りたいのにオーバーワーク気味で定時に帰れない悲劇的なアリナの真剣な訴えはなぜか傍からみるとなぜか喜劇に見えちまったのです。守りたい定時がある、というのは時として到達不可能の目標に向かう喜劇に近いのかもしれなくて、そうするとアリナを笑えなくなってくるのですが…って話がズレた。
以前視聴していた青ブタの会社の作品でちょっとチェックしておくか…という軽い気持ちで録画したのですが、ひどく引っかかる点があってあれこれ考えさせられて、1話は時間泥棒でした(誉め言葉のつもりです)。フィクションとはいえ、効率化を考えたり定時を守りたいアリナの姿勢は根っこのところではよくわかるほか、この先物語がどういうふうに転がるのかまったく見当がつかないのもポイント高いです。
強いて欠点を書くと主人公のアリナの胸が揺れる描写がけっこうあってその描写の意図が理解できませんでした。そのテの理解度が低い上にアニメの感想の書き方とかいまだによくわからないので唐突ですがこのへんで。