『小市民シリーズ』1期最終話まで視聴して

今夏放映されていた『小市民シリーズ』(原作・米澤穂信)を録画していました(≒つまり今夏余裕がなかった)。放映後かなり経過してから書くのはいかがなものか?と思いつつ、最近になって最終話まで視聴できてて、何も語らないのもつまらなく、なおかつ、面白かったです!で済ますのがもったいないので以下、書きます。

いつものように幾ばくかのネタバレをお許しください。後半の6話「シャルロットだけはぼくのもの」から9話最終の10話「スイート・メモリー」までは物語としてはひとつの塊で、シリーズ通しての主人公である小鳩くんが謎を解いてゆく点は前半5話まで変わりません。

もう幾ばくかのネタバレをお許しいただきたいのですがシリーズ通してのもう一人の主役である小佐内さんは後半では誘拐事件に遭遇します。小鳩くんの謎解きとその事件の真相は物語のキモなのでぜひ本作をご覧いただくか原作をお読みいただきたいのですが、謎が解けた段階で「おおおおおお」と声をだしちまったことを告白します。それだけミステリとして物語として見事で、原作者と映像化したスタッフにブラボーを贈りたいです。くわえて、6話「シャルロットだけはぼくのもの」においてお祭りの夜に小佐内さんは狐のお面をかぶり小鳩くんの横を歩き、さらに<小佐内スイーツコレクション・夏>というピーチパイやりんごあめ等和洋菓子がランキングされた紙と地図を小鳩くんに渡しています。後者の<小佐内スイーツコレクション・夏>のほうはなにを考えてるんだろうこの人…的な目で眺めていたのですが、それらも無意味ではなく、つまり伏線回収も見事で、唸ってしまっています。

以下、くだらない些細なことを2つほど。

ひとつめ。最終話にはけっこう重い話がぶっこまれています。考えるという営為を通してつい「妥当かどうか」とか「正しいかどうか」という判断がついてまわることがありますが、事件が解決したあと小鳩くんは(結果的に共感等ではなく)妥当かどうかや正しいかどうかについて考えることしかできないことを小佐内さんにやんわりとなじられます(と同時にそれは小鳩くん同様に考えることしかできない小佐内さんにもブーメランのように刺さります)。その結果がどうなったかはやはり本作をご覧いただくか原作をお読みいただきたいのですが、人がついやってしまうそれらの考えるという営為の厄介さについて触れることでこの物語は単なる謎解きに陥らない効果をもたらし、人付き合いとはなんなのか?とかを物語を眺めてる側に考える余地を与えていて、いくばくかの重みがでているような気が。

ふたつめ。最終話ではパフェがでてきたのですが、シリーズ通して食べるシーンがどうしても印象に残りました。これやはり忠節橋だよな…という場所が出てきたのでおそらく岐阜が舞台であると思われるのですが、機会が有ったら岐阜へ行ってパフェはともかくシャルロットを食べてみたい欲が再度出てきています。

なお2期があるようで、それがいまから楽しみであったり。アニメの感想の書き方とかよくわからないのでボロが出る前にこのへんで。