ちいさな喪失感

たびたび東京ローカルの話を突っ込んでいますがきょうもローカルな話をします。

大学はバイトをみつけて働きながらだったのですが、そのバイト先の他大学の先輩から近くの・神保町や駿河台下近辺の、そこそこ美味しく・そこそこ安い店というのをいくつか教えてもらっていました。洋食だと福徳銀行の裏にあったバンビにすずらん通りのキッチン南海です。貧乏くさくて恐縮なのですけどなるべく食費を浮かして本などに資金をつぎ込みたかったのでそこそこ安い店でもしょっちゅうは行けませんでしたが、あまりピンチではない月の給料日あとなどに小さな贅沢として行ったりしていました。残念ながらバンビは既に店を閉めています。キッチン南海も現在の店を閉めてのれん分けした店に移行する旨の報道がありました。

たぶん前にも書いた記憶があるのですが目を通しておきたいけど図書館に在庫がない本について、買う金が手許に無くその本を手にするまですずらん通りの三省堂などで当該部分を読んだことが何回かあります(そして最終的に買わなかったこともあるのだけどその罪滅ぼしとして社会人になってから名駅三省堂でよく本を買っていました)。キッチン南海はその三省堂にゆく途中にあり、店の前を通ると一瞬だけだけど揚げ物系の旨そうないい匂いがするのです。いい匂いに引き寄せられて店内に入りたいのをぐっと堪えたことが何度もあります。キッチン南海の報道を知って、視線は目の前の映像を追ってるのですが、脳内では大学生の頃のすずらん通りのキッチン南海の前で店に入りたい気持ちを抑えてるときの景色で占められてました。なんだろ、空きっ腹に食べたいものを堪えた記憶って案外鮮明に覚えてるものだなあ、と。

でもって、しんどかったしあの頃に戻りたいとはちっとも思っていないけど地獄では決してなかった記憶の詰まった場所が消えるというのは、ちいさな喪失感があります。

来月には新店ができるらしいので黒いカツカレーを食べてみたい気もするのですが、以前喰えてたとしても学生時代に比べておそらく胃が小さくなってるはずで若干の不安がここ一年ほどあって、もう若くはないんだな…という別の大きな喪失感を味わいそうな気が。