かつ丼選択問題

太川陽介さんと蛭子能収さん、それに毎回異なる女性ゲスト1人の3人が行くローカル路線バスの旅、というのを以前テレ東系で放映していました。出雲市から鹿児島県の枕崎まで3泊4日で路線バスオンリー(高速バスは使えない)というルールでゴールを目指す、というような、おそらくやらせ抜きのドキュメンタリーっぽい旅です。録画したものを何回か視聴したことをここで書いてるはずです。その路線バスの旅では蛭子さんは太川さんと異なり空気を読まずに云わないでいいことをわりと口にします。いつだったかコインランドリーがあるところで泊まりたかったけど距離を稼ぐためにそれが叶わないとなるともちろん従うのだけど、でも若干露骨に・しかしニコニコしながらちゃんと不服を表明します。その蛭子さんの姿勢は「空気を読むとか調和を考えることは一見よいことのように見えることはほんとは健全なことでもなんでもないんじゃないの?」という、観てるほうを内省させるというか、ちょっと揺さぶりをかけて来ます。そんなこと考えるの、おれだけかもしれないのですけどって、空気を読む読まないの話をしたいわけではなくて。

上記のコインランドリーの話にもつながるのですが、旅を何度も重ねても蛭子さんはパンツを2枚しか持ってきませんでした(なのでコインランドリーのあるホテル泊をいつも強く希望する)。旅先にパンツ2枚しか持ってこないことに関して蛭子さんはブレず迷いがありません。また路線バスの旅で訪れた土地で食事をとるとき、太川さん(と女性ゲスト)がその土地の新鮮な魚介や名物料理に興味を示してどれにするか迷いながらそれらを食べてても、蛭子さんはかつ丼があればかつ丼を頼みます。そのかつ丼を美味そうに食べます。視聴してる限り、ぶれませんでした。番組内では「またかつ丼?」的にちょっと揶揄されてますが、迷いがないのです。それが妥当かどうかは横に置いておくとして、蛭子さんは迷わなくてもいいように事前に選択を済ませ実行に移していて、結果として迷う時間を節約できてるので合理的です。そこらへん、よくわかるのです。

匿名を奇貨として続けます。

私は旅先でかつ丼しか食べないということは卵嫌いなので無いのですが、でも蛭子さん的な「あらかじめ選択を済ませて実行に移している」ことがないわけではありません。たとえばパンツの色です。かつて着用した勝負パンツ以外はほぼ青しか買いませんでしたし、いまでも青しか買いません。色で迷う時間が無駄という意識が働きます。ついでに書くと猛烈に忙しかった時期に昼に迷う時間がもったいなくてそういうときはカレーと決めて、結果的にカレーを週3程度食べてた時期もあります(忠告されてからは昼飯はそういう選択は避けてます)。

閲覧させていただいてるダイアリの中に留守中に肌着を2組でまわしていた旦那様のことが書かれてて、もしかしてあれこれ迷わぬようにそう決めて、つまり「あらかじめ選択を済ませ実行に移している」のかな、と推測し、個人的にはその行動にそれほど違和感がないのです。が、なんだろ、そういう「あらかじめ選択を済ませ実行に移している」行動というのは実行した本人は合理的に思えるけど、やはり傍から見ると「またかつ丼」のように理解されにくいのだろうか、という不安がちょっとだけあったり。