プレミアムモルツ

松任谷由実さんの曲に中央フリーウェイってのがあります。中央高速を片手運転しながらもう一方で肩を抱き、っていう安全運転と縁がない曲ですが、右に競馬場、左にビール工場なんて歌詞があります

写真の真ん中にある高架がその中央高速です。であった頃はよくドライブに出たけど最近は送ってくれないしちょっとつめたいね、っていう記述がビール工場のあと前触れもなく唐突にあって、なんかこう、人付き合いは難しいと考えさせられるのですが、ってそんなはなしはともかく。歌われてるのは府中の情景です。

中央高速の南にあるのがサントリーのビール工場で、歌詞の記述どうりにかけば中央道甲府方面進行方向左にあります。

正式にはサントリー武蔵野ビール工場です。いつもは黒ラベル派ですが、今日だけは転向して工場見学してきました。
まず最初に映像付きでビールについて説明がありました。サントリーの特徴として麦芽、ホップ、天然水のみ使用で、飲みやすさ重視、っていうことをおっしゃってたのですが、原材料にえぐみのでる麦芽も使用していて、コクとうまみというののとバランスをとってるようです。でもってさらっと天然水と書きましたが、取水地によっても味が微妙に異なります。京都と府中と熊本では微妙に水が異なり、なものですから各工場の醸造セクションが工夫して、どこも差異のないようにしてるのだとか。興味深かったのは府中では取水するのは以前は浅いところだったものの枯れてしまい、いまはかなり深いところで取水していて、その場合丹沢や秩父の水が府中まで来てる、とのこと。

黒ラベル派なので念のため書いておくと麦芽、ホップ、水以外の材料を使う社もあります。それが必ずしも悪いわけではありません。たとえばスターチだとか米などを使うこともありますが、それはビールの個性です。もっとも以前開高さんがそれとなく書かれていたのですが、45年以上前のサントリー参入まではそれほど差異がなく・個性がなく、単に「ビール」と言われていただけに過ぎないところにサントリーが個性を持って入った格好になります。いまは大小入り乱れて百家争鳴ですが、ビール愛飲者としては幸せなことかもしれません。
予習したあと、製造工程見学へ

温めた水に麦芽を加えると麦芽のでんぷんが糖になります。そこにホップを加えて煮沸するとビールの味の麦汁ができます。写真はホップを加える煮沸釜ですがちょうど煮沸中で、若干熱がこもってました。同じフロアに濾過槽など大小6つのタンクがありました。

煮沸する前の濾過した麦汁をためておくタンクなんすがこれも結構でかかったです。

ホップを混入して煮沸した麦汁はパイプと伝って発酵工程へ。麦汁に酵母を入れて発酵させます。麦芽の糖がアルコールに変化して若ビールと呼ばれる液体になります。ちなみに7日ほどかかります。見ていてつくづく感じたのですが、けっこう巨大な装置です。

若ビールをさらに熟成させるタンクです。寝かせると味がまろやかになるという説明です。ちなみにビールになるまで60日から90日かかります。仮に5月中ごろに仕込まれたものがあるとすると出荷されるのは7月や8月などになるわけで、けっこう手間がかかることを知りました。

サントリーは生ビールが主力なので、タンクで熟成したビールを濾過して出荷前に酵母などを除去します。よく生ビールっていいますが、生は熱処理しないものという定義です。生ビールはサントリーが先鞭をつけました。生じゃないビールは熱処理をします。熱処理したことでもともとの味が若干変わるといわれていますが、熱処理したものが悪いわけではありません。熱処理したものの筆頭がサッポロラガー(赤星)とキリンクラシックラガーで、しかしいまでは少数派になっちまってます。黒ラベルスーパードライも生です。キリンラガーすらいまは生です。サントリーはシェアはそれほど高くはないものの、サントリーの存在感ってのは無視できません。生ビールが市場を席捲してるところを考えると、生とか無垢なものが良いとする日本人性向にうまく合致したのかなあ、という気がするのですが、酒飲みの戯言かもしれません。

濾過したビールを缶や瓶に充填して出荷します。
最後に試飲が可能で、プレミアム・モルツなどを呑んできました。あとででてきた新製品であるマスターズドリームってが出てて濃厚で、そのほうが好みだったんすけど、ってそれはともかく。同行者が「味ってどう決めるのか」ってのを尋ねたのですが、醸造の専門家がいくつかプランをたて経営方針を考える上層部とで合議をして決めるらしかったり。なるほどなあ。
ちなみに見学は無料です。でもただ酒はなんかカッコ悪いので、ビールを買ってきちまいました。

昼から麦酒をかっくらう魅惑のビールクズを体験してきたんすが、個人的感想を述べればちょっと浮気するにはちょうどいい魅力的な麦酒に出会えたのが収穫でした。でも、黒ラベルに帰ってしまいそうな気が。