はるか昔に三越に岡田さんという人がいて、社長在任中に愛人と思しき女性の会社からアクセサリー等を三越仕入れさせ、という事件がありました。当時の三越はこの岡田さんという人に刃向う人を社外に放り出したり子会社に飛ばしたりしたので恩義を感じる役員が少なからずいて、公私混同同然のことをしても面と向かって忠告する人もおらずなかなか止められなかったのですが、銀行等が圧力をかけて取締役会でクーデターを起こり、岡田さんを解任してケリをつけました。役職が上の人の暴走を周囲が止められない、という構図は古くからあったりします。
最近製紙会社のニュースで、創業者一族のひとりが関係する会社の子会社から合計105億の巨額の資金をあてもなく無担保で借りだして(あとで担保提供をしたようですが)、創業者一族が解任される、というのがありました。実質支配している会社の子会社が無担保で資金を貸し付けてるのでいわゆる利益相反にあたりそうで安易に貸付けをしてたら限りなくグレーに近いはずなんすけど、おそろしいのはかなりまとまってるお金が動いても最近まで問題視しなかったことです。


私の学生時代は商法でしたが会社法の勉強をしてると「取締役とか社長とか会長とかは基本的に悪いことをするかもしれない」というのを植え付けられます。条文を見てるとそれを監視しなければならない、という発想になってます。でもって実際、会社には監査役という役職があったりします。 監査役の職務は、社長会長を含む取締役の職務の執行・取締役の指示で行う従業員の職務執行がメインのひとつになりますし、会計の監査も多くの会社で行われてるはずです。子会社の会計監査まで親会社の監査役・会計監査人が直接担当しているわけではないんだろうなと思うものの、子会社の経営状態を反映する連結決算の書類作成は会社の取締役の職務執行なので、妙な貸付金をみて取締役なり監査役なり会計監査役が変だと思わなかったのも不思議なんすが、やはり遠慮があったのかもしれません。
お金の流れや職務について、チェックするシステムというか、コンプライアンスとか内部統制とか、いろんな会社でいろんな制度が構築されてるのですが、やはりどんなに制度を構築しても起きちまうものは起きちまうし人間関係のしがらみというか遠慮の前には限界があるのかなあ、なんてことを新聞を読みながらぼんやり思っちまいました。じゃあ解決方法はあるか、というと、やはり「風通しの良い組織を」とか全然関係ないものしか、思いつかないんすが。