財布の話

大阪都構想というのがあります。大阪府下の大阪市堺市等と大阪府の行政機能を再編し、大阪都を設置し東京都23区のような特別区を設置しよう、という構想です。上下水道や消防は都が、住民票発行や戸籍、学校教育等地域住民のための住民サービスなどは特別区が行います。大阪市は解体しいくつかの特別区にし、特別区は議会を設置し、住民自治を深化させる、というふれこみですが、いまの天王寺区阿倍野区がそのまま特別区にスライドせず、いくつかの区を合わせて特別区にする、ということになってます。大阪府知事である橋下前知事が熱心で、ゲスな勘繰りをすると大阪市はそれほど財政が悪くないので、統合によって大阪府が抱える4兆以上の財政危機を好転まではいかなくとも何とか回避しようとしてるのかなあ、という気がしないでもないのですが、それは兎も角。


ただ大阪市からすると迷惑な話なのです。
大阪市の予算が総計で1兆7205億円です。で、市税が6226億、起債で1691億、国と府からの交付金3955億、地方交付税580億、地方譲与税602億、基金繰入・手数料・土地売却等その他収入4087億で賄っています。府議会提出の資料を読むと大阪都になったら、大阪市の市税6226億のうち都市計画税556億・事業所税256億円を都に移管し、市税のうちの固定資産税、法人市民税、特別土地保有税等と国から交付される地方交付税等は特別自治区間の調整交付金の財源とし、そのうち4割弱を都の財源にする目論見です。もちろんこれは大阪市が計画してるものではありませんし、同意を得てるものでもありません。現在大阪市が持っている消防や上下水道を都に移管するとはいえ、なんのことはない、いままで大阪市民のために大阪市役所がつかってた大阪市民の税金を大阪市からはぎとって大阪市を解体して大阪府にもってゆき、現在の区役所をつぶして残りのお金で残りの特別区を運営する(そもそも特別区がその財源でやってけるのかどうかは謎)というずいぶんな話で、財布を取られる・現場を預かるいまの大阪市側はいまのところ市長以下それほど前向きではありません。個人的には相当アバウトな計画だと思ってます。


そろそろ大阪市長選がはじまります。
改革とか、変革というのはひどく耳に心地よいのですが、肝心なのは「具体的にどないすんねん」というところにあったりします。「改革しない」ということは決して悪いこととは限らないのですが、なぜかなんとなく具体論なしで動きそうな空気なのが、気になるんすけども。
大阪という地が【空気】でうごくのか、金勘定にシビアな土地柄だし財布の話も絡むのでその【空気】否定されるか、すこしだけ気になるのですが。