地方事業税・地方住民税のこと

税金というのは国税地方税というのがあります。春に上がる消費税も現行では4%が国税で残りが地方税地方消費税)です。さて地方税地方自治体の一般的な行政経費に充てるために、地方税法及び条例の規定に基づいてその自治体に住む人から徴収する税します。都民税もしくは県民税、市町村民税、固定資産税、軽自動車税とかがそれにあたります。
とか、と書いたのはまだほかに入湯税とかがあります。で、世の中には法人事業税というのと法人住民税というのがあります。さてそのうちの法人事業税は、法人の行う事業そのものに課される税です。企業はその事業を行うにあたって地方自治体から各種の行政サービスの受益があり、必要な経費を分担すべきであるという考え方を基礎にしてる税です。いまは所得のほかに資本金・資本準備金等を加味した額を前提に課税しています。基本的にこれは地方税であったのですが平成20年より暫定的に法人事業税の2分の1相当を国税(地方法人特別税)としています。各都道府県が課し各都道府県から国に対して払い込まれ、地方法人特別譲与税として各道府県に再配分しています。若干変な話で、本来その地方固有のものが他所に流れるものになっちまいました。理屈はいちおうあって法人の利益が大都市にある企業の本社に集中することが多く、税源が大都市に偏在するのを是正するため、ということでした。暫定的というのが厄介で期限は示されないまま施行され、いまのところ消費税が10%になったら廃止、という噂なのですが、当座上がらなかったらどうなるかはわかりません。
ここでこんどは大都市圏を中心に法人住民税を恒常的に一部国税化する動きがあります。法人住民税自体は法人が法人としてその自治体にあるときに個人の住民税のようにかかってくる税で、決算が黒字であろうと赤字であろうと法人の資本金等にかかってくることがある税金です。これもその財源を別の地方自治体に振り向けるという腹なのですが、東京にある会社が東京都の東京の行政サービスをうけながらその経費として充てるべきものが地方に行くというか、変なことなのです。そのかわり地方法人特別税の額を減らす、ということなのですが、そもそもその地方法人特別税は法人事業税で地方固有の財源だったので変です。自治体の公共サービスの経費を負担するための税が他自治体に流れる不合理なことになります。
法人事業税と異なり、法人住民税の一部国税化は、都内の自治体にとって深刻です。
東京都には23区ほど特別区があります。この23区はほかの市町村より税の側面において微妙に異なる存在です。東京都と23区の間に財政調整制度というのがあり、固定資産税や都市計画税もそうなのですけど法人住民税は都が課税して、都は45%もってゆき、23区分として55%を配分し区側の実情に応じて23区に配分されます。都が4割以上持ってく代わりに都は原発事故でも対応した消防や水道などを維持してます。そのなかで法人住民税を国によって吸い上げられると、吸い上げられた分は都と23区はどこか削らなくちゃなのです。国税化したところで国が救急車や消防車を負担してくれるわけでもありません。なぜ都市だけそのような地方税が歪められ続けなければならないのか、なのです。
現在、東京都では都知事戦最中なのですが、あんまりこの地方2税のことはややこしすぎるせいもあって争点にはなっていません。でもものすごく重要なことなのです。なんべんも書いてますが、税というのは人の生活を左右します。そこらへんがすごくもどかしかったり。