読書感想文『株主総会』

株主総会 (幻冬舎文庫)

株主総会 (幻冬舎文庫)

株主総会」という名前のとうり経済小説です。著者は元検事の方で、実際にビジネス弁護士として働いている方です。
商社に勤めるリストラを宣告された主人公の総務担当者が株主総会で自ら取締役になります(その方法はこの小説のキモでここで書いたらたぶん興醒めになるとおもうので書きませんが、あっ!そうきたか、と思ったのは事実ですが、ありえないことは無いけどどうだろうってのもあります。もちろん本文でもそれは触れられています)。そのまま社長となり実権を握ります。ルールのわからない世界に突き落とされた、肩書きを失った前社長の狼狽振りの描写がまた見事です。あらすじは会社の自浄を計る主人公がワンマンの前代表取締役を追い詰めます。次第に双方の弁護士対決になり、それが新世代と旧世代の闘いの構図になってるとおもいます。 形式的な面では合法に近いんだけど、けどよくそれを考えるともともとの趣旨を超えている、という場面においてそれぞれが対決します。しかし、時代が廻ってるんですが、その時代が廻ることに反発をする人も居るわけで最後は法律論では無いところの、感情的な面において決着がつきます。法律の解釈論ではなくて、めしが喰えるかどうか、という点です。
法律の知識がなくともなかなか面白く読めるはずです。


本筋と関係ないですが一番印象的なのは主人公側に着いた弁護士の言葉です
「後発は明確に優れていなければならない」
というやつです。何かの折に一度云ってみたいですねー。これ。