LGBT法案(とその反対意見に関しての)雑感

わたしは間違ってあほうがくぶを出たクチですが、法学部において立法事実という言葉を習うことがあります。どういうものかとテストで問われれば法律をつくらなければならない社会的な事実関係の存在ってかけば答案はオッケイかもしれません。法案や条例案を作るとき法律や条例が必要な状況を精査し検討を加えて法案・条例案にします。たとえばインスタント焼きそばの湯切りをするときにシンクに麺がだばあとなる事故を防ぐためのなんらかの方策を法律によって講じたいとき、なぜそれが必要かを裏付けるための事実を調査する必要があります。ふざけずにもっと真面目に書くと昭和の時代に工業地帯の選挙区を回っているときに支持者に指のない人が多数いることに気がついて調査して、結果として工作機械に安全装置をつける法案を書いた保守系の議員もいます。

多様性を認めて寛容な社会を作ってゆくため理解促進法案というのがあって今朝の29日付毎日朝刊を読む限り「性的指向および性自認を理由とする差別は許されない」という文言が入るようで、法案について「訴訟が多発する」と与党側の一部から意見が出てることも報じていました。訴訟になるような案件が潜在的にあることは反対派も理解してるのが興味深くて(雉が鳴いたところを聞いたことはありませんが)雉もなかずばなんとやらで、つまるところその意見は現況を是正しなくてはいけない立法事実があることを間接的に証明してしまってる気が。

ひとつだけ反対する側の意見としてひっかかったのは「差別の内容がわからない」というものです。条文原案では具体例として雇用や採用に関して均等な機会を与えることを保証することや(14条)や職場における性的指向又は性自認に係る言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置(18条)、行政機関が事務を執行するにあたり個人の権利利益を侵害することとならないよう性的指向又は性自認に係る社会的障壁の除去の配慮義務(9条)などのほか、そもそものこととして国民の責務として差別解消が述べられているわけですが(4条)、おそらく当事者が感じているものは当事者以外にはわかりにくく「差別の内容ってなに?」といわれると非常に厄介で事例を列挙すればラクですが事例以外のものは良いというわけでもなく、また行動はともかくとして内心にまで差別解消を要求するのかとかの論点はあるわけで、いくらか傾聴に値するとは思いました。

くだらないことを書きます。

子供の時分に焼きそばの湯切りをしていたときにシンクに麺をだばあとこぼして以降、長いことカップの焼きそばは買っていませんでした。数年前、シンクに麺がこぼれ落ちないように工夫がなされてるの知って感動したのですが、あれが法律によるものなのかそうではなくてメーカーの工夫によるものなのか、残念ながら知りません。

なんだろ、人は改良することを知っているはずで二足歩行の動物ではないと思いたいので、時間がかかってもいいので法案がこぼれ落ちることがなくなんらかのかたちで成立すればよいなあ、と。道徳的に許されない、というレベル以外の話がなされてることにいくらか安堵をおぼえたのですが、道のりは長そうな気が。