世情に疎くなっています。でも新聞を読んでて「へー」と思ったことがありました。今国会で超党派の議員によりLGBTに関連する法案を出すことに関連して衆院本会議で野党側から質問があり、内閣総理大臣からいちおうの返答が戻ってきたことです

LGBTについてのお尋ねがありました。LGBTと言われる性的少数者に対する不合理な偏見や差別があることは、誠に残念なことでありますが、政府としては、今後の国民的な議論等も踏まえ、慎重に検討する必要があると考えております。今後ともこうした偏見をなくし、一人ひとりの人権が尊重される、豊かで安心できる成熟した社会を実現するため、教育や啓発の充実、個別事案に対する適切な対応に努めて参ります。
1月27日朝日新聞より

総花的なあいまいな表現で実行が伴うかどうかは別として、内閣の首長として「不合理な偏見や差別がある」ということを公式に認識して「慎重に検討する必要がある」と留保を付けつつも「適切な対応に努める」という答弁は正直、いまの政府は人権問題に疎いと踏んでいたので(ロシアでは未成年に対して公然と同性愛について語ることがNGという法律が存在し、ドイツのガウク大統領のほかフランスのオランド大統領もアメリカのオバマ大統領もキャメロン英首相もソチ五輪へ行かなかったなか、行ったのがいまの日本の首相だったので)、意外でした。
どちらかというと性的少数者に考慮した社会には日本はなっていません。公的機関でも比較的鈍感です。政府とはあまり関係がありませんが、自治体の中には採用試験においてミネソタ多重人格検査いわゆるMMPIという心理テストを前提とした質問を行っています。そのなかに「同性に魅かれるか?」といった性的指向を問うものがあります。いまから3年くらい前に中日が記事にして問題提起していて、しかし意図や返答が採用に関係するかというのは明らかではなかった記憶があります。意図は明らかではありませんが、その設問をなぜ設ける必要があるのかということを考えると「性的少数者の割出もしくは排除」がある、というのは容易に予想できます。そもそも性的指向を第三者の前で積極的に明らかにすることを迫られることは性的少数者にとって圧迫であって、そんなことしなくても良いのではないの?とか考えちまうのですが、ぴんとこない人にはぴんと来ない問題かもしれません。差別や偏見っておそらく無くならないと思うものの、できることなら、この先社会に出るであろう厄介な性を抱えてる若い人のために、そういう質問が社会から、それが難しいなら公的機関からだけでも、減ることを望むのですが、難しいかなあ。

私は性的少数者か、といわれるとおそらくそうです。「おそらく」って留保をつけたのは性的少数者の定義がよくわからずにいて当てはまるか自信がないからです。ついでに書いておくとクローゼットで、いいよってきた同性には伝えてありますが、こちらから積極的に打ち明けた人はほとんどいません。異性に云わないでえらいめにあったこともありますが、それでも云いませんでした。結婚しないの?っていうのはありますが、仕事が忙しいのでっていうと納得されちまうし、性のことは勤務に関係ないのでいうつもりもありません。事実を他人に言わない、隠すってのは多少のやましさがあります。黙ってる・秘密を心の奥底に重石をつけて沈めておく、ってのはしんどいですけど慣れちまいましたっておのれのことはともかく。この先、ちょっとでも良い方向へ進むよう、世情に疎いなりに注視していこうと思いました。