議員立法の弱点

政治のことは書かない、っていったのですが、ちょっとだけ。


運転免許をもってる人なら知ってる知識だとおもいますが高速道路を除く一般道で、制限速度の表示のないところでの普通乗用車の最高速度ってのは、時速60キロです。緊急時は80キロです。で、この根拠は道路交通法ではなく、道路交通法施行令という、政令で定められてます(この場合11条)。この政令ってのは法律を施行するにあたって実際に運用するためのものです。で、この政令ってのは重要なのですが、政令ってのはもとになる法律に根拠があるときに(たいてい条文のどこかにたとえば国土交通省が管轄するようなものなら「国土交通省令で定めるところにより」とかかいてある)限り国会の決議を経ずに内閣がだします。


で、臓器移植法についていえばたとえば臓器の範囲が政令に委ねられました。国会での法案審議とはぜんぜん関係ないところもいきなり含まれたりします。国会でぜんぜん議論されなかった小腸の移植について、政令ではなぜかオッケイとなりました。えらい細かい話で恐縮ですが、組織の摘出ってのもあります。心臓弁なんかが相当します。心臓はオッケイでも心臓弁は組織だからか、政令にはいらなかったのでノーです。
法律って一度成立すると、その法律で可能なものは行われるようになります。できちまった法律をどうやって運用するか、それがすごく大事なんすけど。で、その運用を定める政令等を政治がチェックしなければならなかったりします。実は臓器移植法成立時もいろんな議員が動き、たとえば皮膚や血管の摘出について書面を必要とするように規制をかけたりをしました(実はそれまで無断での摘出事例がかなりあった)。今回も政令で決めることが多いはずです。たとえば改正法では児童からの摘出がオッケイとなりましたが、児童虐待被害児からの摘出っていうのをどうやって防ぐかとか、意思表示ができない障害をもつ児童の扱い、あとは無脳症の乳児をどうするのかとか、政令で定めなきゃならんものがあります。で、国会議決を経ないで決められることができる政令等にどうやって干渉してくかが政治の役割だと思うし臓器移植法の改正に加わった・携わった政治家の責務なんじゃないかとおもうんすよ。というのは、これ、議員が中心になって条文を書いたり修正したりした、議員立法なんすよね。
政治って、どういうものなのか地方自治レベルのことしかわかりませんから、ぜんぜん違うかもですが。


でもじきに衆議院では選挙がはじまります。選挙によって法案作成に携わった問題を知悉してる国会議員の面子が変わっちまう可能性への危惧があります。できればもうちょっとやってそこまで片付けてから解散するか、もしくは解散してから新しいメンバーで改正案を議決してやってほしかったです。