ジャムのはなしを引っ張ります。
ジャムを8缶なめた・食べた苦沙弥先生一家のことを書いたのですが8缶でいくらであったかは書いていません。でもって日経と野村ホールディングスが設置してるmanabowというサイトがあって、そこには明治30年の1円がいまでいう3800円程度であったことが書かれています。「吾輩は猫である」は明治38年に書かれているのですがそこらへん踏まえて考えると苦沙弥先生のジャムにまつわる会話の中の「いくら舐めたって五六円くらいなものだ」というのを鵜呑みにするとしても、当時の5円から6円をほんとにジャムにかけていたなら少なく見積もって5円としても1万9000円くらいであるはずです。苦沙弥先生が食べていたジャムは舶来品であったのか国産品であったのかわかりません。ただ言えることとして今売られている京橋の明治屋の復刻ジャムは明治44年発売なので明治屋のジャムとは考えにくいです。明治期に千疋屋でジャムを作っていたかはっきりしないものの参考までに書いておくといま八重洲の大丸で扱う京橋の千疋屋のいちごジャムがいま一瓶2160円くらいします。苦沙弥先生は相当良いものを食べていたのではないかと思われます。よく言えば金離れがよく・悪く言えば財布のひもがゆるいという江戸っ子気質を漱石がそのまま引きずってて、それが苦沙弥先生に投影されてる、と踏んでるんですけど。
死んだ両親は東京の東のいわゆる下町の出なんすけど私は変に節約屋になっちまって財布の締まりがゆるくなく、苦沙弥先生のようにジャムにそんなに金をかけていません。いつも買うアヲハタのマーマレードはヨーカドーで298円くらいです。たまに買う明治屋の日向夏のマーマレードが400円しません。京橋千疋屋の2000円強のジャムを眺めながら「どういう味がするんだろう」「いつかなめてみたい」と思いつつ果たせていなかったり。そのうちおのれへのご褒美代わりに買ってみようかと考えてはいるものの、まだ果たせてません。