日銀ができた遠い要因の一つとして西南戦争があります。西南戦争時に戦費調達のため新政府は一番楽な方法、紙幣を大量に刷り、その結果として市中に紙幣が余り物価が上昇し、経済が混乱したことがあります。その処理過程で発券銀行を独立させて裁量を持たせるようにしました。時の政権が巧く経済政策をとるか、というと必ずしもそうではないからです。戦争と戦費調達と財政はけっこう関連性が無いようであるような微妙なところがあります。日露戦争時には高橋是清という財務家が踏ん張って海外で戦費調達の公債を発行して切り抜けましたが、満州事変のときは国際社会の反発がありそれが不可能となり国債の市中消化の原則を破って日銀の国債直接引き受けという奇策に行きます。高橋是清なきあとは一時日銀引受が常態化し戦後その処理に苦労するのですがってここらへん前に書いたかもっす。
中央銀行たる日銀の、金融政策運営に対する独立性は、短期的な政治圧力の介入・影響を受けない賢明な政策遂行を可能にする目的があります。じゃあ日銀や各国の中央銀行が常に賢明な政策をとってきたか・独立性を守ったから別の問題が発生しなかったか、というとそうとは言い切れないのですが、時の政権のいいなりにならないという、薄皮一枚のラインがけっこう重要です。


金融緩和は景気が弱含みのときに行い、資金を市中に潤沢に流す・企業がお金を借りやすくして設備投資を活発にさせ、景気を刺激するためのもので、日銀ができる手段のひとつです。今週、より一層の金融緩和策をとりました。でもって日銀が独自判断したことに意味があります。通貨の番人としての日銀は権力の言いなりでない・独立性を守っている、ということがけっこう重要なはずなんすが、ここ数日の新聞を読んでてどうも日銀を意のままに動かそうとする傾向があるようで、この先の雲行きが怪しいのがちょっと気がかりだったり。