金利は文化を左右する

日銀の業務には「銀行の銀行」という側面があります。各銀行が日銀に口座を持っていて当座預金があり、口座の預金を使って決済をしたりします。具体的にかけば山梨中銀から横浜銀行宛ての送金依頼と横浜銀行から山梨中銀宛ての送金依頼が同額で相殺できればいいのですが、めったにそんなことはありませんから山梨中銀と浜銀の日銀の口座を使って決済します。でもって、それらの当座預金には一部には利息が付いていました。ここ数年、日銀が金融緩和策の一環として銀行などが持つ大量に国債を買い取っていて、その売却代金などが融資にまわっている(市中に資金が供給されている)部分もあるのですが、融資先がそんなにあるわけでもないので、ある程度は日銀の当座預金に積みあがってるとも噂されています(安全でなにもしないで利息が付くのだからそのほうが楽なので理解できないわけでもない現象なんすが)。そこで先月末には日銀の当座預金の一部に手数料を課す、ということになりました。資金運用先として注目を受けたのが日本国債です。日本国債はいまのところ換金性が高いのと比較的安全であるという認識があって、買われています。18日の新規の5年もの利付国債は簡単にかけば額面100円として年0.1%の利率で満期までの保有すると100円50銭がもらえるものであったのですが落札価格が101円を超えています。そのまま5年もてば100円50銭の価値をもつのものをいま101円で買ってるわけで、そのまま満期まで持てば必ず損するマイナス利回り状態です。冷静に考えれば異常事態ですが、根っこには日銀に預けておくよりも損はしないマシな選択と考えていて、金融緩和策の一環として日銀がいずれ買い取ってくれるであろう、というのがあるはずです。国債のマイナスの利回りというのは以前国債で資金運用をしていた人間からすると理屈としてはわかるのですが皮膚感覚では「まじっすか」という心境です。
資金運用が難しくなってきてるので市中銀行普通預金・定期預金の金利が下がってきてるのも理解できなくはないのですが、ううむ、と思っちまうところがあります。
去年、高松塚古墳の壁画展示施設等を運営する飛鳥関係の財団が活動を縮小しました。ずっと小冊子等を発行してて、その存在を知ってから継続して個人でこっそり応援していたのですが、いままでどうりの財団の運営が(おそらくここ数年の金利の低下で資金運用がうまくいかず予算のやりくりが大変で)難しくなってて小冊子が発行できなくなりました。財団ってのは基本財産などがあってそれを運用することで活動をしてる、というのは知識として知っていたのですが、恥ずかしながら通知を貰うまで、金利というのは文化を左右するということをちゃんと理解できなかったところがあります。おそらくどこの公益財団法人も厳しくなってきてるのではないかと推測してるんすが去年より今年は一層厳しくなるのではないかと思われます。
なんだか厄介な時代になってるなあという印象が。
文化と経済、どっちも重要なんすが、なんとかならんのか、ってのがあったり。