世の中にある会社の場合、どこにも定款というのがあります。名称や本店の場所、会社の目的などが書かれています。会社を運営するうえで重要かつ基本を定めたもので、でもって定款に無いことはできませんし会社の活動は定款に縛られます。極端なこといえば株式会社はてなはインターネット関連事業を定款にのせてるはずですが、はてながこれからは風力発電の時代だ、といって京都に風力発電所を作ろうとしても定款に発電・売電の記載がないとできません。定款に書いてあることを変えようとすると株主総会に諮らねばなりません。総会で賛成多数で定款を変えることができます。最近になって大阪市が関電に(既存の)「原発を可能な限り速やかに全廃する」ことを定款に記載するように求めました。もし仮にそうなれば関電は原発を全廃する方向に進まなければなりません。定款に記載しちまうと取締役は定款の通りに動かねばならないのですが、「じゃあ速やかってどれくらい」というと答えがでません。明確性と具体性のあるものを定款に記載すべきで、そもそも「可能な限り」「すみやかに」なんてものが記載できるかどうかもわかりません。仮に大阪法務局がおkをだして定款に載せられることができたとすると、仮に定款に反する意思決定・定款と異なる意思決定を取締役会がしたら、定款と異なることをしようとしてるのでその会社の取締役に対して株主から解任請求が可能ということにつながってきます。もっとも株主総会で定款変更をしようとすると出席株主の3分の2以上の賛成が必要で、筆頭株主が声高に主張しても定款変更が可決されることが困難のはずっす。しかし株主が定款の記載について提案をするのは自由です。そこらへん、実現できるか・可能かどうかは別として大阪市長が関電につきつけようとしてることはけっこうなにもかも無理筋に近いです。原発はなくせ、いつまでかはいわない、でも速くしろ、そうしないと取締役の首を飛ばすぞ、といってるようなものなので。
私の勤務先は中電と関電も関係してくるので大飯原発の件は気になってたんすが関電に対して大阪市がそこまで強硬ならば大阪市は今年は原発の再稼働に関して首を縦にはふらないだろうし計画停電が起きるのかなあ、なんて思ってました。


ところがここのところ事態が急展開して猛暑に間に合うかどうかは別として再稼働の方向へ進みつつあります。そのなかで大阪市長が「負け」を口にしてて、なにが負けなのか咄嗟には理解できませんでした。たぶん関電に対して「負けた」のかもしれません。
でもですねー。
負けってなんなのかがわからないのです。計画停電になれば病院は最低限のことしかできなくなりますし工場は生産ラインも動かせないし銀行決済も止まりますしコンビニやスーパーも休止します。もちろん営業補償の話があるわけでもありません。再稼働をして事故が起きれば琵琶湖にも影響が出て来ます。どっちにいってもリスクはあります。関電が勝ったわけでもないのです。関電とて従前の法定の点検をしていても原発の安全性に疑問符が呈され事故時のリスクを考慮しながら理解を得るのは悩ましいところで、同時に今夏の安定供給に最大限努力しなければならないわけで、非常に厄介なところに来ています。考えなきゃなのは関西の経済や環境で、この先どうやって京阪神は生きてゆくか・生き残るかであって勝ち負けのレベルでもないしそもそも誰も勝者がいないのですけど、そこで「負け」という言葉が出てくるのが不思議で、市長さんは遊び半分のゲーム感覚なのかなあ、などと思っちまうのですが。