築地川

築地です。

都民の台所、というとほかにもいくつか市場があるので語弊がありますが、魚や青果を扱う、日本橋の魚河岸からの伝統を引き継ぐ、都有の公設卸売市場です。今日は休場なのでひともまばらっす。老朽化してて、建て替えの話があったのですが、ここでの建て替えが困難なのではないか、という声があり豊洲の代替地(よりによって土壌汚染があったので)に移す・移さないってのはここ10年くらいの都政の争点です(さらにこの前の地震で代替地の液状化が確認されてて、ほんまダイジョウブなんかな、と思うのですけど)。

築地市場といえば、ターレという不思議な運搬車があります。築地以外にあるのかどうかはちょっとわかりません。でもって子供の頃これを見て、乗れたら面白そうだなー、と思った記憶があります。

築地市場のすぐそばにあるのが築地場外市場。「し」という文字は縁起が悪いのでひらがなの「じ」の字がどじょうかうなぎもしくはあなごの影になってます。もしかしたら之の字の崩し字のデフォルメかもしれません

場内に対して場外で、こちらは小売を中心にしてまして、場内がお休みでもこちらは営業してて、わりとにぎわってます。扱ってるのは魚や貝などのほか、海苔や卵焼き(場内に鶏卵市場もある)のほか、つくごんとか浜藤とかの練り物の店もけっこうあります。見てるだけでも面白かったり。



少し前に三島由紀夫の「橋づくし」について書いた記憶があって、いつものことなんすけど、かけあしで恐縮ですが、たどってみようと築地で途中下車しました。都営の一日乗車券のもとを取る計画です。
「橋づくし」のストーリーはいまはない築地川に架かる7つの橋を中秋の名月の夜に口をきかずに渡りきれればその願いがかなう、という言い伝えにまつわるお話です。ほんとにそんな言い伝えがあるのかどうかはわかりません。でも願掛けって不思議なものが多いですから、あってもおかしくないかもです。登場人物は女性4人。

彼女たちが歩いた順序とは違うのですが、備前橋。実は物語ではけっこう重要な場所ですこしだけネタバレをいうと、願いがかなわない人もいます。備前橋のあたりの築地川は三島さんが生きてた時代と違って埋め立てられて公園や駐車場になってます。

暁橋あと。あとっていうか現存しますが、川ではないので橋の役割を終えてます。もう一つ堺橋ってのがあったようなのですが、残念ながら痕跡を発見できませんでした。
船橋。橋として役に立ってますが、川底(正確にはあと)は運動場です。
築地橋。川底は首都高速です。首都高は川に沿って走ってるのですがここではまさに川の中を走ります。

で、三吉橋です。Y字の三叉橋になってて、小説の中ではコースを変えて2度渡ることにより、2つ橋を渡ったと勘定してます。以上、備前橋、暁橋、現存しない堺橋、入船橋、築地橋、三好橋×2で、7つっす。電源を切ってればほんと誰ともしゃべらずに歩きとおせます。残念なことを書いておくと、私は途中で電話にでちまったので、無言で橋を七つわたることができませんでした。願掛けしてたわけではないのですけども。
なおうまくいかなかった人については具体的な願いが描写されていますが、祈願が成就した人の願い事が何であったのかは作中明らかにされまてせん。なにごとも大事なとき・大事なことは沈黙するほうがいいのかもっすけど。三越のライオンを誰にも見つからずにまたがることができたら願いがかなうってのとおなじで、チャンスにさとい人間はほんとにそれをものにするんじゃないかとか、いろいろかんがえちまうのですが、それは兎も角。三島さんの文章は手の上に乗っかって転がされてるのはわかるのですが、わかっててもなんとなく相手の策略にのせられるのが快感なお話です。どういうお話かはぜひ小説をお読みください。

道中、みつけたススキ。
東京は、ほんとあっというまに秋が深くなりました。