東京だと…っていうと主語が大きいのですが個人的に把握してる限りはこの時期、鱧は湯引きされて売られてることが多いです。「喰う?」と確認してから購入し、それを梅肉ダレとかからし酢味噌で食べたりします(昨日はからし酢味噌にした)。京都では白焼きや照り焼きを目撃したことがあります。東京では穴子で事が足りるので鱧でやっても見向きもされないはずです。不勉強をさらすと去年まで知らなかったのですが、鱧は焼いた方が良いやつと、湯引きにしたり椀に入れたりする方が良いやつとがあるのだとか。もちろんシロウトには判りません。魚の目利きには区別がつくらしいのですがって、鱧の話をしたいんじゃなくて。野球と政治の話はあんまりしたくはないのですが、ちょっとお付き合いください。
鱧は養殖物はありません。入荷が減れば値が動きます。鱧に限らず養殖ものはべつとして魚というのは安定供給できる工業品ではありませんからで実際問題としていつも決まった値段をつけるのは難しいです。シロウトとは異なる観察眼を持つ目利きが市場でよってたかって集まっての、(買いたい希望者のうち高い値をつけた人が落札する)せり売りの形式で取引して値段が決まります。魚の優劣によりそれぞれそれなりの価格がつきます。
以前築地にあった魚市場はいま豊洲にあります。ただそれまでに二転三転しています。現知事は豊洲のほかに築地にも市場機能を残す方向性を一時は打ち出しました。豊洲移転を掲げてた党が都議選で大敗したせいかもしれません。でも仮に市場のせり売り機能を2つに分けるとするといまは統制経済ではありませんから誰だって魚の価値がわかってくれる目利きが居て高く買ってくれそうなところに流すに決まってます。低く値を決めそうなところに魚を流すわけがありませんから、片方はぜったいさびれるのは自明の理です。加えて市場はマグロに強い仲卸や貝に強い仲卸、海老に強い仲卸などがあって一か所にあるほうが便利なのです。鯛は豊洲で鮎は築地、なんてことをやってたら不便なことこの上ないわけで。私はめったにテレビ画面に向かって罵倒語を云わないのですが、その時だけは口にしてました。
結果的に豊洲に一本化されて都知事の案は潰えてます。工業製品ではないものを扱う市場というものの本質を書類を読んだり現地視察しても全く理解していなかったとしてもほんとは嘆くべき事態なのですが別に知事になるには選挙に勝ってしまえばよくてふぐ調理師試験のような資格試験があるわけではないので形式上は問題はありません。形式上は問題ないのですが「知事、それは違いますよ」と誰も忠告しなかったとしたら・忠告を聞いても理解できてなかったとしたら怖いし、いまの知事は出来の悪い裸の王様なのではないかと、それ以降、なんとなく都政に不安を覚えるようになっています。我ながら魚のことでよくここまで書けるもんだと思うのですが。
バカにされそうなことを書くと肉食系ではない魚食系としての義憤から、知事選は保守とか革新とかほぼ無関係に現職ではない候補に入れています。魚を(扱う魚市場を)雑に扱ったことに腹を立てるってなんだかネコみたいですが、理屈ではないところで投票をしたのは選挙権持ってからはじめてかもしれにゃかったり。