第二次性徴で一番おどろいたのは高い声が出なくなってたときです。それまでボーイソプラノだったのですが、いくらかくぐもった低い声に変わりました。二番目におどろいたのは毛です。しかるべきところに毛が生えてきたことがちょっとびっくりしました。最初ものすごく違和感を感じて引き抜こうかと思ったくらい。毛を意識したのはそこらへんからです。お年ごろになって、あれ?と思ったのがヌードです。あたりまえのことなんすけどモデルの人って、わき毛がない。それほど女性のヌードに興味を示しはしなかったほうですが毛の有無はちょっと気になり、あーなるほどなー世の中は「毛がないほうがいい」という世の中なんだな、ってことがうっすら判りました。トドメを刺したのは「キレイなお姉さんは好きですか?」っていうCMがあって、あれは松下電工からだした脱毛機だったはずです。毛がないほうがいい、毛は余計なもの、毛は汚いものっていう価値感はいつの間にか刷り込まれてた気がします。
毛が有るのとないのとではなにが違うのかっていったら、たぶん生々しさかな、と。「キレイ」「キタナイ」ってのは生々しさに関連する部分があるのかな、なんて思うのです。そして世の中生々しさ排除の方向へ行ってるのかな、とも思います。


ただ、毛むくじゃらは別としても適度に生えてる毛、例えばわき毛なんか男の場合はむしろセクシーなんじゃ、と感じますが、それは自らの考え方で他人がどうだか判りません。


で、どこか自分の中の「生々しさ」を排除して、「キレイ」でいたいなってのがあります。っていっても逆に生々しすぎるかもと思って、完全な剃毛というのは一度もやったことはありません。たまにへその下に直線状にうっすら毛が生えてて、そこと大きな声で言えないけどアンダーヘアなんかは変にならない程度にいくらかカットしてるくらいっすけど。
しかしどんなに「キレイ」でありたいな、と思ってもけっこう大変です。無駄な抵抗と知りつつも毛との攻防戦を続けてますが永久脱毛する勇気もなく、けりをつけないまま、毛とのつきあいはもう20年強になります。