数日前、言いっぱなしは良くないと書いてしまったので、フォローします。



未履修の問題

お役所というのは根拠が無ければ動きません。逆に根拠や前例があればわりと動いてくれます。未履修の件をどうやって処理したのか、ちと気になってたのでアップします。




救済策を各教委などに通知 文科省


 高校の履修単位不足問題で、文部科学省は2日、70コマ以下の単位不足の生徒が実質的に50コマ程度の補習で卒業できるようにする救済策をまとめ、都道府県知事・教育委員会などに通知した。各国公私立大学に対しては、単位不足のまま高校を卒業した学生の入学資格に影響が生じないよう求める通知も出した。
文科省側は今回の救済策の法的根拠について、学習指導要領では「1単位は35時間(コマ)を標準とする」と規定されていることを挙げ、「各学校長には一定の裁量があり、やむを得ない事情がある場合には35時間出席していなくても履修を認める権限がある」と学習指導要領の範囲内で時間短縮ができることを説明した。

(11月2日付毎日新聞より転載)

未履修問題 文科省苦悩の10日間 合法化探り「あの手この手」



 高校必修科目の未履修問題は、発覚から10日で政府が救済策をまとめるスピード決着となった。受験勉強が佳境に入る季節、一刻も早い不安解消が大前提だったが、一方で、安易な救済は違法行為の助長につながりかねないという危うさがあった。あの手この手の案が浮かんでは消え、最終的に編み出されたのは、「違法な卒業認定を合法的に認める」という裏技。舞台裏には、難問に頭を痛めた文部科学省担当者らの「苦悩の10日間」があった。(中略)

「ウルトラC」として最終的に残ったのが、行政事件訴訟法にある「事情裁決」という“裏技”だった。
事情裁決は、卒業認定という行政行為が法的に違法でも、それを取り消せば公益に著しい障害が生じる場合は、取り消さなくて良いという考え方だ。違法建築の取り壊しなどをめぐる訴訟で適用される法理だが、「やり得」を招きかねず、適用は厳格に制限される。
内閣法制局との調整は多岐に及んだ。「未履修を抱えたまま卒業した『既卒者』の資格を取り消さない判断に法的に問題はないか」「違法校とそうでない学校の生徒で、権利バランスは取れるのか」「学習指導要領など既存の教育制度との整合性を崩さないか」…。法的な問題点を細かく詰め、救済策を固めていった。
時間との闘いの中、私立高校の実態調査が進まないことも気がかりだった。「救済策は、最大350時間の未履修を前提にしている。全容を把握したうえで救済策を公表しないと。これを大きく上回る未履修が後で発覚すれば、救済自体に理解が得られなくなる恐れがある」(初中局幹部)
与党協議の推移を見守りながら、ある文科省幹部は「かわいそうだと情緒に流され、法律をなし崩しにする声は多い。一方で、児童生徒の規範意識をどう高めていくかという議論もしている。救済策にはさまざまな意見があろうが、法的な筋を通し、公平で温情あるものでなければいけない」と話した。

(11月2日付産経新聞より転載)

記事中の事情裁決ってのはたぶん事情判決のことだと思われます。行政事件訴訟法ならば、ですけど。違法ですが、その行政行為を取り消しちまうと、公益上問題があるので違法と宣言するけどそのままです、という考え方です(選挙権の平等に反する程度の情況での選挙を無効としてしまうとその選挙で当選した議員たちが立法した法案等の正当性が問題になったりするので、そういうときの弁法としてよく使われます)。



つまるところ、通知として卒業認定について校長先生の裁量に任せるといっておきながら、考え方としては国はそれは違法ですよ、と、腹の底で認識しながら、仕方ないので卒業させたことにしといてね、っていってるわけですね。そういうことのようですね。
国が違法なことを率先して通知は出来ませんが、まだ違法って裁判所が判断してるわけじゃないから、それまでは行政行為(卒業認定のこと)は有効ですよ、ってことなのでしょう。ほんとにウルトラCですね。真の解決策になるのかどうかはわかりませんが。ついでにこれが前例にならないように祈るばかりです。



これをみている大学受験勉強中の皆様、頑張ってください。