小池氏と守屋氏痛み分け、新防衛次官は第3の候補に


政府は17日午後にも、混乱が続いている防衛省次官人事について閣議人事検討会議を開き、最終決着する方針を固めた。
小池防衛相が求めていた守屋武昌防衛次官の退任を認める一方、警察庁出身の西川徹矢官房長の次官への昇格は認めない方向だ。(中略)
防衛次官人事をめぐっては、防衛相が在任4年を超える守屋氏の交代を15日の閣議で決定しようと動いたが、閣議人事検討会議のメンバーである塩崎官房長官らの了解を取らず、守屋氏自身にも事前に知らせていなかった。
省庁の幹部人事については、1997年以降、政治主導の人事を行うとの観点から、正副官房長官4人による閣議人事検討会議の了承を経ることになっているため、塩崎氏らは強く反発した。また、守屋氏は、秋の臨時国会で、インド洋での海上自衛隊の米軍などへの補給活動を延長するためのテロ対策特別措置法改正案の審議を控えていることなどを理由に、警察庁出身の西川氏の昇格に反対。「守屋退任・西川昇格」の人事案件を正式に首相官邸に提示することを拒み、混乱が続いてきた。
2007年8月17日付読売新聞より転載

防衛省の防衛事務次官の話です。なんだか記事を読んでもやもやしてたので、調べました。


役所というのは法律が無いと動けません。法律を根拠に動きます。
そもそも防衛大臣事務次官の任命権が有るんじゃないか?と思ったので条文をあたったらあるんですよ。自衛隊法2条と31条ですね。

自衛隊
(この法律の目的)
第一条  この法律は、自衛隊の任務、自衛隊の部隊の組織及び編成、自衛隊の行動及び権限、隊員の身分取扱等を定めることを目的とする。
(定義)
第二条  この法律において「自衛隊」とは、防衛大臣、防衛副大臣防衛大臣政務官及び防衛大臣秘書官並びに防衛省事務次官及び防衛参事官並びに防衛省本省の内部部局、防衛大学校防衛医科大学校統合幕僚監部、情報本部、技術研究本部、装備本部その他の機関(政令で定める合議制の機関を除く。)並びに陸上自衛隊海上自衛隊及び航空自衛隊並びに防衛施設庁政令で定める合議制の機関並びに防衛省設置法 (昭和二十九年法律第百六十四号)第四条第二十四号 又は第二十五号 に掲げる事務をつかさどる部局及び職で政令で定めるものを除く。)を含むものとする。
防衛大臣の指揮監督権)
第八条  防衛大臣は、この法律の定めるところに従い、自衛隊の隊務を統括する。
(任命権者及び人事管理の基準)
第三十一条  隊員の任用、休職、復職、退職、免職、補職及び懲戒処分は、防衛大臣又はその委任を受けた者(防衛施設庁の職員である隊員(防衛施設庁長官及び自衛官を除く。)については、防衛施設庁長官又はその委任を受けた者)が行う。
2  隊員の任免、分限、懲戒、服務その他人事管理に関する基準は、防衛大臣が定める。

防衛大臣に次官の任命権があると。
けど、それがそのとうりにならない。
じゃ、なんでもめてるんだろうか、と思って記事を読んでくと、閣議人事検討会議というのにぶつかります。それと1997年何かが有ったらしい。いまから10年前、検索かけたら橋本総理の時代ですね。で、省庁再編があった年です。大蔵省が財務省になったころです。当事、行政組織のあり方を見直したんですね。

その関連で、↓こういう法律があった。

中央省庁等改革基本法
(中央省庁等改革に関する基本理念)
第二条 中央省庁等改革は、内外の社会経済情勢の変化を踏まえ、国が本来果たすべき役割を重点的に担い、かつ、有効に遂行するにふさわしく、国の行政組織並びに事務及び事業の運営を簡素かつ効率的なものとするとともに、その総合性、機動性及び透明性の向上を図り、これにより戦後の我が国の社会経済構造の転換を促し、もってより自由かつ公正な社会の形成に資することを基本として行われるものとする。
(国の行政機関の幹部職員の任免についての内閣承認)
十三条 国の行政機関の事務次官、局長その他の幹部職員については、任命権者がその任免を行うに際し内閣の承認を要することとするための措置を講ずるものとする。

結局、記事中にある閣議人事検討会議ってどこに法的根拠があるのかなんだかわからないけど、中央省庁等改革基本法13条によって次官を決めるのに内閣の承認が必要だということはわかりました。任命権者は防衛省の場合は防衛大臣ですが、内閣の承認を得なければどうしようもない、と。
その内閣の承認を得るための手続きの実権を握ってるのが官房長官と副長官計4人なわけなのかもしれません。けど、法的根拠ないまんま、そんな任意の組織に実質的権限与えちまっていいのかな、とおもうんですけど。喧嘩両成敗なんてのんきなこといってる場合じゃない気がしてならぬのですが人事権においては内閣官房長官防衛大臣より発言力がある、ということになりませんか?
これは、とおもう人物を挙げたにもかかわらず拒否された防衛大臣サイドからすると虚仮にされたも同然な気がします。よく平気でいられるなーと思いました。大臣なんて飾り物ですよ、あなたが決めるんじゃなくって官邸が決めるんです、っていってるのと同じなわけで。これ。


ちょっとどうでもいいことですがマイカルが破綻する前に内外の投資銀行や証券会社がマイカルを買いませんか?と虎視眈々と日本市場を狙ってたフランスやアメリカの会社に持ちかけてたのです。ところがそのとき、マイカルの経営トップが大阪府警出身者だった。で、それを知ったある外国の会社は「話はなかったことに」という連絡をしたそうなのです。外国から見ると警察というカサをつかわないと、組織が持たないくらい内部統制がとれてないんではないか?という疑念を抱かせたのです。不幸なことに機密漏えいであるとか調達に関する不祥事が防衛省はたてつづけに起こりました。警察出身の次官という当初の原案どうりいったら、ひょっとしたら外国から日本のディフェンスアーミーは内部統制がとれてないのではないか?という疑念を抱かせてたかもしれません。それを承知で起用しようとしたとするなら、防衛庁内部の統制が深刻なのかもしれませんが。