児童ポルノ雑感2(26日補充)

児童ポルノ>単純所持に罰則も検討 自民が法改正へ
インターネットによる児童ポルノ画像などの拡散に歯止めをかけるため、自民党は23日、児童買春・児童ポルノ禁止法を改正する方針を固めた。販売目的でなくても、画像や写真などを個人で集める「単純所持」を禁じる規定を新たに盛り込むほか、処罰規定も検討対象とする。超党派議員立法で今国会に提出する考えだが、処罰規定には与野党とも「わいせつの定義もあいまい。捜査権の拡大を招く」といった慎重論がある。自民党は月内にも森山真弓元法相をトップに小委員会を設ける。販売や提供の意図がない単純所持について「電磁的記録の保持」を禁じる規定を設ける案が出ている。処罰規定は、罰金を科すことを軸に検討する。迷惑メールなど、一方的に画像を送りつけられるケースがあるため、適用対象を収集の意図が明らかな場合に限る。アニメやコミックの児童ポルノへの規制は「表現の自由を侵す恐れがある」との意見が強く、見送られる見通し。この問題では、国際的な取り組みが必要と米政府が昨年、単純所持を禁止する方向での法改正を要望。鳩山法相も4日の参院予算委員会で、単純所持にも処罰規定が必要と述べた。
現行法は99年施行。処罰対象なのは児童(18歳未満)の性的に刺激が強い写真や画像、ビデオについて▽制作と販売▽販売・提供目的での所持▽ネット公開−−など。販売や提供目的でない個人収集は対象外だ。与党は04年の法改正時にも、単純所持を禁じる規定を盛り込む案をまとめたが、野党の慎重論に配慮して、外して成立させた。しかしネットに画像を流した人物や組織を突き止めることは難しく、自民党内に「画像の拡散がやまない。法的規制が必要だ」との意見が再浮上していた。同党は超党派での国会提出を目指すが、勝手に画像を送りつけられ、取得に気づかないケースも想定され、民主党内には「捜査権がいたずらに広がる可能性がある」(幹部)との異論がある。
2月24日付毎日jpより転載

(すいません、補充したい部分があるので書き足しました)


随分前に児童ポルノ規制についての記事をかいたのですけど、根本的な問題として、なぜ、全成人に対して児童ポルノというある特定の分野のわいせつ表現物を規制しようとしているかというと、その性行為表現は非公然であるべきという考え方であるのではなく、何度も繰り返して恐縮ですが、そこに本人の意に沿わない可能性が高い人権侵害があったし、これからもありえるからです。
現行法は児童ポルノの規制と処罰が許されるのはあくまでも児童の権利保護のためで、児童の権利保護のために営利目的等で児童ポルノを製作し頒布や販売を行う者を刑罰でもって規制していこう、という側面があります。
第一点はポルノ写真撮影の過程でセックスに至る事も多いことが予想され(ただしここらへんわからないので推測です)それを避けたいってことがあるはずです。つまるところ製作過程での児童の性的虐待を防ぎたいのです。
第二点は本人が率先して出演したがったり売春したがったりしてるわけではないけど、保護者や子供を支配下に置いてるものが強制させるのを取締りたいから、ってのがあるはずです。
児童ポルノに出演する未成年はちゃんとした正常な判断能力がない可能性が高いはずです。で、大人が仮にヌード写真やアダルトビデオ等に出たとしてもそれはリスクやメリットを理解してのうえです。で、未成年はあまりそういう理解できなくて児童ポルノに出演してしまい、あとでネット等を通して市井に出回り、ってことになるのでしょう。そのデメリットを出演する未成年がきちんと理解してない可能性が高いから保護しとかないとってのが、第三点。


現行法は単純所持を処罰しない方向になってます。
で、今国会で変えようよ、という方向へ動いてるようなのですが、繰り返しになりますが頒布や販売を目的としない児童ポルノを所持することを規制するのは私は困難だと思います。というのは販売目的じゃない所持が児童の権利保護と関連があるかというとちょっとむずかしい。また、いま対象が児童でないわいせつ物を頒布販売目的以外で所持することを処罰することは現行法ではできませんし対象が児童であるというだけで単なる所持を処罰することが可能かというと苦しい。単なる所持を処罰するなら、児童の権利保護に役に立つ、やむをえないこと、といえる必要があるはずです。本気で所持を禁止しようというならば所持した人間が児童の性的虐待に加担する蓋然性が高いっていう必要があるのでは?(や、ユーザーがいるから作る人がいるというそういうレベルではなくって性的虐待を幇助したとかそういうレベル)。


製作や販売・提供目的での所持行為がアウトなのになんで単純所持とか個人で楽しむのはオッケイなのか?っていうのは、児童の性的虐待に直接関係ないからっていうレベルの話でしかないので、その画像の存在自体が児童の尊厳を害してるわけですからこれを規制しろっていうのは正直政治的には正しいことなのかもしれません。でも、しつこいようですが虐待行為等に加担してないんすよね。また繰り返しになりますが、児童ポルノの所持を処罰すれば児童ポルノの氾濫にある程度効果があるはずです。しかし大人のヌードの所持との均衡を考えると疑問符がつくのです。大人が出てるヌードを所持した場合がオッケイで未成年だとなんでダメなのかっていうのが、説明出来る様で出来無い気がします。


また、児童の尊厳を傷つける画像を誰でも見れる状況下においあるというのなら、その置いた者が本来なら責めを負うべきなのではないかと思うのです。取得可能な画像を置いた行為自体が更なる人権侵害を産み、児童の尊厳を傷つけるはずだからです。画像保持自体が実質的害悪を引き起こす可能性が高いかっていったらそれもまた違うはずです。
例えとして適当かどうかは判りませんが、盗撮した高校生の裸体画像を撮影してそれをネット上に放置したら人権侵害でしょう。置いたほうは故意にやってるわけで、責めを負うべきでしょう。でもそれを普通のおばさんが取得し保持しても眺めるだけでさらに拡散させなかったら、それ、問題あるのだろうか。もちろん、盗撮や覗き見はまずいのですが、そのおばさんが盗撮の実行をしたわけではないし、画像を放置したわけではないからです。
もちろん気分のよい話ではないですし性的虐待を受けた児童や盗撮された高校生からするとそんなもの持ってないでくれ、といいたくなるのは嫌というほどわかります。大のオトナが児童ポルノを熱心に集めるという姿が見目麗しいかっていったら麗しくもなんともないですけども保持行為自体を罰するのは行き過ぎなんじゃ?と思えます。


記事中、捜査に関することへの疑問がかかれてましたが(「電磁的記録」に限るっていうのはネットを狙い撃ちにしてるのでしょう)咄嗟に考えたのは個別のパソコンに保存されているであろう画像をどうやって調べるのか?ってのが謎なのです。「適用対象を収集の意図が明らかな場合」に限るというのを考えると、怪しいぞ?という段階では調べないで常習的なコレクターとかに絞ってなのかもですけど。ちょっと運用次第では危険なんでは?と思います。


児童ポルノの規制っていうのは性的搾取にあいやすい児童の保護と性的虐待を防止することに存在意義があるはずです。実際に起こりかねない日本国内での児童の性的虐待等の回避を念頭にしてるものです。仮にネットに溢れる児童ポルノ画像を規制するならば児童ポルノ規制の法律では全く目的が別でその被害児童の尊厳を守るために所持を罰するという別の立法をして手当てすべきじゃないのかな、と思いますし、所持を罰さずに児童ポルノ製作者等に対して当該画像を故意に誰でも見える場所に場所に公開頒布したことに対する罰をさらに重く科す、と云った方策で対処すべきだったのでは?と思うのです。


自民党はわかったので、念のため、公明党は何を考えているかというと、むしろすごい。

児童ポルノがインターネットの普及で氾濫し、国際的な問題になっている。児童ポルノは、子どもを被写体としたポルノ画像、動画のことで、それ自体が犯罪であり、子どもに対する重大な人権侵害として世界各国で法的規制が行われている。しかし、その扱いや規制方法は国によってまちまちで、国境のないネットの世界では、ある国がポルノ画像を非合法にしても、他の国のサイトにアクセスすれば見られるという事態が生じる。児童ポルノの根絶には、世界的な厳しい規制が必要といえよう。(略)
現在議論となっているのが、児童ポルノの単純所持や、アニメ・イラストの扱いである。単純所持については、04年の改正の折にも禁止条項の創設が検討されたが、「捜査権の乱用を招く」との懸念から見送られた経緯がある。だが、先進8カ国(G8)で単純所持を処罰対象としていないのは日本とロシアのみ。国際的な批判は免れない状況にある。確かに、児童への性的な欲望そのものは犯罪ではなく、単純所持の禁止に反対する向きもある。が、単純所持を禁止する理由としては、
(1)児童ポルノの鑑賞は現実の犯罪を誘発する
(2)児童ポルノの所持はポルノ制作者への金銭の移動を意味し、間接的に児童の性的搾取の支援になっている――
ことが挙げられよう。性犯罪者の4割は、子どもの写真やアニメを収集していたという調査もある。(略)
また、児童ポルノは、いったん流通すると、その再生、販売、配給は国際的になり、大きな利益をもたらす。米国で摘発された会社は、ネット上で総額900万ドルにのぼるビジネスを展開していたという。これらの“悪の温床”を根絶するためにも、単純所持の禁止を検討すべきだろう。
アニメなどを児童ポルノの対象とすることには、「実在する被害者がいない」「表現の自由を保障すべき」との理由から反対論が多いが、犯罪誘発防止の観点から、アニメ大国の責任において積極的に議論する必要がある。公明党は児童買春・ポルノ禁止法の見直しプロジェクトチームを設置し、専門家などと精力的に意見を交換している。被害者を救済し、被害拡大を防ぐための取り組みを大いにリードしていきたい。
2月19日付公明新聞

ちなみに前の党代表は検事さん、前の幹事長と今の幹事長と代表代行は弁護士さんです。悪が見逃せないのでしょう。そうはいかんざ○!なんていってましたものね。
正直、児童ポルノ鑑賞者≒犯罪誘発可能性のある人って言うとらえ方が、すごいな、とおもいます。そうすると大人が出演してるポルノを鑑賞してる場合はどうなるの?大犯罪?って云う愚問はさておき、見る側が欲情してさらに犯罪を起こすかどうかってのはことの本質から外れてて児童ポルノ規制とは直接の関係は無いのではないかと思うのです。
アニメ・イラストも規制するおつもりらしいのですが、創作物も犯罪を誘発することを前提にした議論で進行してるところがこれまた、すごいなーとおもうのです。その発想に脱帽です。こうなってくると、ルパン三世なんて窃盗犯を誘発しそうですし放映できなくなる気がしますけど。それにコナンなんて、殺人トリックの紹介ですよね?あ、BL系アニメを見せたら同性愛者が増えるのか?。
ほんとに美しい国日本にするため、道徳観にあふれた人たちが政権与党にいるのですね(棒読み)。


どうでもいいですが、私は児童ポルノが苦手です。擁護派でもないです。相手の同意を得ない画像収集も趣味もありません。念のため。