自民、公明両党は2日、児童買春・ポルノ禁止法の見直しに関する与党プロジェクトチームの会合を国会内で開き、インターネットプロバイダーに対し、児童ポルノを扱った悪質サイトへの接続制限で努力義務を課す方針を決めた。5月中にも策定する同法改正案に「通信事業者の役割」の項目を新設する。現行法では規制の対象外となっている、個人が趣味で児童ポルノを集める「単純所持」の量刑は「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」で合意。現行法で規制対象外の児童ポルノを描いたアニメや漫画への対応については、今回の法改正では見送る。
改正案には悪質サイトの削除や捜査機関への協力などプロバイダーが取るべき措置を明記する見通しだ。(略)
5月2日神戸新聞より転載
児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律
第二条 この法律において「児童」とは、十八歳に満たない者をいう。
3項 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、ビデオテープその他の物であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したもの
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写したもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写したもの
しつこいくらい書いてますけど、その「単純所持」をどうして罰することが出来るの?っていう根源的な疑問があります。
児童ポルノの単純製造行為(撮影っすね)、および画像等を頒布販売陳列することはすでに禁止となっていますが、それでもでてくる児童ポルノによって性的虐待を受けその証拠である画像等をなんとかしたい、って言う趣旨は判ります。私は児童ポルノ容認派ではありませんが、でも、なぜ大人の画像は所持がオッケイで、子供の画像はダメなんでしょうか。対象が子供でない通常のわいせつ画像を頒布販売目的でない単なる趣味の画像として単純に所持しても罰することはできません。対象が子供というだけで表現物の所持を規制するのであるならば子供の権利保護にやむをえないこと、っていう目的がなければまずいはずなのです。所持を罰するとするならその必要性や相当性がなければまずい訳で、そもそも被害をうけた子供の人権に侵害が起きるのは単純所持という行為ではなく、むしろその画像が一般の公衆に目に触れるときのほうが人権侵害が起きるはずですからその「一般の公衆に目に触れる場所に画像を置いた行為」を本来もっと重く罰すべきであるはずなのです。ここで吠えてもしょうがないんすけど。
さてこのまま民主党が反対しなければ児童ポルノ画像の単純所持は違法になります。
単純所持が違法となり処罰できるということは捜索を受けて何もない場合も有りますが自分の持っている写真や画像のなかに児童ポルノに該当しそうなものがあったとなったら、有罪となるかも、ってことになります(罰則規定施行前に既に所持していた場合にはどうなるんだろうっていう単純な疑問もありますが)(捨てておいたほうが無難かと)。
実際条文が公布されないとわかりませんけど、神戸の記事では親が子供の写真を撮ることなんかを考慮してか、構成要件として?趣味で(たぶん暗に性的好奇心?をもって)所持するってなってます。が、それ、その内心をどうやって判別するんすかね。立証は最大限拘留して「おまえこういう性癖なんだろう」「趣味で集めたのだろう」と問い詰めて自白をとるつもりなのか。なんでそんなこと言うかというと、今の条文、そんな規定ないんすよ。今までは外形的に多くの人が「えろい」と思われるものを規制してたに過ぎないんすけど。
個人的にはそんな画像持ってないから関係ないんすけどこの要件がついたことでものによっては違法になったり適法になったりするケースがたぶんでてきます。例えば「男子高校生のビキニ水着」とか「男子高校生が遠泳前に褌」なんて画像を取得したら市井の普通の人はそれをもってても問題にならないけど「若い子がスキー」という女性やゲイの人ならどこか「えろい」と感じるわけで、故意にえろいから持っておこう、と、集めたら「趣味で(性的好奇心をもって)児童ポルノ相当の画像を所持」つまり「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写したもの」(条文の解釈が間違ってたら申し訳ないっす)を趣味で持ってるってのにひっかかるんじゃ?と。撮影した方が児童ポルノを意図してなくても取得した側の性の事情で性的興奮を刺激する画像をもってるっていうことってのになる可能性があるわけです。考えすぎかもですけど。
理屈の上ではこの趣味とかいう要件で、同じ画像を取得しても同じ行為でありながら取得した人間の性のあり方によって違法になる場合とならない場合が出てきちまうって法的安定性の面でどうよ、って咄嗟に考えたのですが。
なんかこう、趣味(性的好奇心)をもって所持するという要件をかぶせて罰するというのは行き過ぎじゃないのかなーってのと、社会全体が道徳的なものが見え隠れする息苦しい変な世の中になっちまったなー、とつくづく思います。なんかこう、道徳的なものが大手を振ると必ずしも道徳的でない人間は生きにくいっす。
(一部修正しました)