臓器移植について外野の一意見

臓器移植について、全面的に私は否定するつもりはないのですが、やはり気になっていることなので書いておきたいと思います。既に述べましたが、いまは15歳未満の脳死者からの臓器摘出は認められていません。現在これを認める動きがあります。この15歳というのは民法上の遺言ができるか否かなんですが、なるほど子供が臓器移植の意思表示をしたときにその意思を尊重すべきという意見は傾聴に値します。
なお現行法では15歳以上であっても臓器提供の意思表示をした脳死者がいても家族が脳死判定を拒否すれば臓器摘出はありません。また今回の改正では生前意思表示をしていなくても家族の同意で摘出してもよいとする案が出ています。
個人的には15歳未満の子供にはたして脳死や、脳死状況での臓器摘出の意思表示を問うことは困難なのではないかとおもっています。臓器の提供に関する意思を尊重するとするならば、当然、有効な意思が可能なのは何歳であるのかというある種の資格論が課題となるでしょう。それ以前に重要なのは、子供自身の生命、脳死という死のあり方に関する自己決定を含む子供の存在そのものに対する尊重が問われているのだ、ということだとおもうのです。社会や親の保護(庇護)と教育の下にありつつも、決して親や社会の従属物や財産ではなくて自律性を獲得しつつ成長していく子供の存在の、いわゆる「他者」としての尊重が問題なのであって、死生観や自己決定について知識に欠けるところがないとはいえない遺言能力のない15歳未満の子供につき、成年した大人と同じに扱うことは酷であり、その意思表示をしたとしてもその意思を認めるべきではないとおもうのです。私は完全な「他者」とはいえない15歳未満に臓器摘出を実施することに抵抗があります。
たしかに、15歳未満の子供からの摘出ができないことにより乳幼児の心臓病の患者が死亡している事実があることを私は知らないわけではないですし、「移植を待つ」側の意見も重要だと認識しています。しかしながら「摘出される側」の意見というのが必ずしも重要視されていないのではないかとおもうのですが、どうでしょうか(と、日記なのに誰に問いかけているのか)。