「ブシメシ!」のこと

かつてひかり号には食堂車がありました。食堂車で食事をしたことはないのですが、名古屋駅で弁当を買えなくて車内でうなぎ弁当を買ったことがあります。たしか1300円くらいしたのですが、温かいご飯の上に温かいうなぎが載っていて満足した記憶があります。名駅で売ってる冷たい食べ物より温かいもののほうが良い、と思った強烈な記憶です。残念ながら食堂車はなくなっちまいましたが。
確定申告に必要な書類を整理しながらNHKBSの「ブシメシ!」というドラマを料理目当てでちらちらっと見ていました。主人公の紀州高野藩士が、「毒見役が入るので冷めてしまった食事しか食べれない殿様は哀れでみじめである」、ということを軍鶏屋で偶然知り合った中間(侍ではないが武家で雑務を扱う階級の者)に云ってしまいます。個人的にうなぎ弁当の記憶がよみがえり、「なんだかよく判る話だ」と手を止めて見入ってしまったのですが、その中間は世を忍ぶ仮の姿で実は紀州高野藩の殿様で、詳細はなにかしらの方法で番組をご覧いただくとして、結果として殿様に料理を作ることになります。あたたかい食事や湯気って正義だよなーとつくづく思ったのですが、殿様が温かい茶粥を美味そうに食べるのを見て周囲がそれをかたずをのんで見守るシーンがなんだかとてもよくよい作品に仕上がってて、一回目を運良く視聴できたので録画など工夫しながら最終回まで見届けました。
別の回ではふさぎこみがちの奥方に出す食事を作らざるを得なくなり、「筍の蛤汁かけご飯」を結果的に作るのですが、決め手が「匂い」でした。そうそう、食べ物における匂いというのは重要な要素だよなー、と妙に納得しちまったのですが、美味しいとはどういうことかということを含め、料理に関してひざを打つことが多かったです。番組そのものはどちらかというとあり得ない話でなおかつコメディタッチなのですが、フィクションとしては毎回とても楽しめましたし、楽しみにしていました。
はてな今週のお題が今年いちばん良かった映画やドラマなのですが、権威のない私がほめたところでなんのプラスにもならないかもなんすけど、個人的には「ブシメシ!」です。瀬戸康史くんの名前も覚えました。幸いなことにシーズン2もあるようなので、いまから心待ちにしています。