花の名前(もしくは先入観のこと)

出勤時・退勤時に江戸時代にできた上水路の脇を通ります。その上水路にはヒガンバナが植わっています。ヒガンバナの根っこに毒があり、なので水路をネズミやモグラから守るの意味合いで植えられたと思われます。もちろん誰が植えたかはわかりません。そろそろ咲いていてもおかしくない時期ではあって、今年は彼岸を前に既に咲きはじめています。咲くこと自体は別に毎年のことなので驚きはしないのですけれど。

退勤時に、少し離れた街灯の下でしゃがんでるような人がいて「なにをしてるのだろう」と観察していたのですが、それから数秒も立たぬうちに、植わってるヒガンバナを手に歩きはじめていました。植わってるのは公有地で私の所有物でもなく、そもそもヒガンバナに財産的価値があるとは思えず、「こういう場合捕まえて注意するのも変だよな」とそのままにしています。花盗人は罪にならないという言葉を聞いたことはありますが、どうするのが正解だったのかはわかりません。

むしろ気になったのが「なんでヒガンバナを刈ってくの?」であったりします。

写真は以前三鷹で太陽が当たってるのを見たときに撮ったやつですが、陽が差し込むとたしかに目に留まります。が、シニンバナとかカジヤキバナともいって縁起でもない花の意識が強く、葉が無いので葉欠けという点から「ハッカケ」ともいうはずですがこれとて助六に「歯っ欠けジジイ」という言葉があるように縁起が良いとは思えませんし、供花にしたり花瓶に入れるにはどうも不適当な気がしてなりません。考えてるうちに「根っこから毒を作ろうとしてる可能性もあるから捕まえた方が良かったのかな」などと、変な方向へ思考が転がっています。

もっとも曼珠沙華という別名もあってその名で西武がコロナ禍以前は埼玉の日高の群生地をPRしてます。もしかしたら私が縁起でもない名前で覚えてしまった・毒を持ってることを知ってるがゆえに妙な先入観でヒガンバナを見てるだけかもしれないのですが。

花盗人というのを人生ではじめて目撃したせいか(ほんとにいるのか、とびっくりした)、妙にひっかかっちまいました。盗みの現場を目撃すると、目撃した方も時間を盗まれちまうことってあるのかも…って、そんなことないか。